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ようやく冒頭が終わりアイアン到着になります。
「ほらあれがアイアンだ。見えてきたぞ」
「おおー!」
初めて乗ったものに比べたらかなりましな揺れの馬車の、御者の席の後ろから前方を見る。
すると前方には長蛇の人の列と…大きな壁があった。あれが鉱山都市アイアン!
不安はあるけど、私が宿を開く場所で初めての他国!
「ああ、見えてきたか。ほな、入国審査をしますえ。うちらがするけどマリィもダーツも一応見といてや」
「はい」
「はい!」
取り決めではこういった手続きはマキエ商会でやるものだけど、いざって時のために覚えておきたい。教えてくれると言うからマキエ姐さんとシュタインさんと一緒にでてきたダーツと頷き合う。
「どうぞ、落とさないでくださいね」
そう言ってシュタインさんに渡された資料は一人一人の経歴書だった。
名前、歳、出身地、入国目的、所属。身分証の種類などを書いた一人一人の書類だった。
「これ人数分要るんですよね」
「もちろん。マキエ商会15名、迷宮宿屋組21名分の審査書類がありますよ」
と、説明を受けている間に長蛇の列の最後尾を抜いて行った。え、並ばなくていいのかとそちらに目をやるとシュタインさんがふっと笑った。
「あちらは個人向けの入国審査です。馬車や大人数の場合はまとめて支払うことで団体向けの審査を受けます。お金を積めば審査を緩めてくれるところもありますが、身に覚えがないならちゃんと受けましょう。揉めたらばらまくのはありです」
ほうほう、初めっから撒くのはダメなんだな。そう感心をしているとシュタインさんの頭をマキエ姐さんが叩いた。
「あほ、何言うてんの。ああでも今回の審査で大問題なのはロディ君どす。あの子は出身やら書けへんさかい…まあ、そこは撒くなぁ」
「見た目も人なのか怪しいですからね。大きいですし」
注意してるけど撒くんだね、と思いつつも素直に手間をかけてくれることに感謝をする。確かにロディはパッと見人には見えないし言葉も通じないし不審人物でしか無いだろう。
「ありがとう姐さん。お金は…」
「いらへんよ。これもうちらがもろてる10%のうちや。ああ、あと食費とか生活雑費もそこから出てるさかいいらへんでー」
そうか、そうなのか。わかったと頷いてじっと資料を見ながらその後もシュタインさんの入国審査の説明を聞く。
アイアンの入国には一人1000ロイ。これには街に入るお金と、国に入るお金両方が含まれているそうだ。だから少し割高なんだなあ。
ちなみにロディの分は10000ロイだった。これがいわゆる袖の下ってやつだね…!




