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「良いですね!このままここに宿屋を設置しましょうか!」
「じゃあちょっと配置を考えようか。出入口の前を宿屋にしないと、血の匂いで動物達は怯えるから」
「そうだな。宿屋業務をメインに考えた配置だな」
「家の間取りはどんなにする?」
即座にその場に椅子と机っぽいものを作り、机の上に紙を広げる。
「出入口に水場はやっぱ必要で」
「動物と実践訓練所は一番遠ざけて…」
「何してるの?あ!畑と訓練所は隣り合わせがいいな、魔法を使ったあとの残遊魔力が肥料になるから」
「訓練所と言っても手前はストレッチやアスレチックで奥が実践で…」
「何やってんだ?お!闘技場作ろうぜ闘技場」
(馬鹿!闘技場付きマイホームを喜ぶ女の子はいないだろ!)
(家が先でしょ!?ある程度完成したら作ってもらいなさいよ!)
(んだよ、良いじゃねえかよ!)
作戦会議にどんどん人が集まり、みんなであーだこーだやってるうちについにとりあえず新・宿屋の配置図が決定した。
今までは出入口から奥に長い長方形の空間で玄関→畑→牧場→草原(予定)→訓練所だったのが
玄関の前に水場宿屋
宿屋の左手に牧場
宿屋の後方に畑
宿屋の右手に訓練所(実践場所はさらに奥)
という設置だ。
これならば奥行は良い。高さも良い。が、横行きがとてもやばい。現在40mしか横が無いが少なく見ても…この三倍は欲しい。
追加で80mの拡張。通常であれば四日かかるが…もっと早く作りたい。
「いい宿屋作りましょうね!」
「そうだね姉さん」
ポーションをなるべく早く飲まないと。そう意気込んで全員に声をかけるとダーツの声が聞こえた。
あ、ダーツも来たんだと設計図作業も終わったのでそちらを見ると…笑顔でお怒りのダーツと笑ったトールさんとトードーさんが居た。え、待って何か悪いことしたっけ…!
「あ、あのねダーツ。宿屋をここに作ろうってなってね、これ配置予定図」
「そう…よく出来てるね」
「う、うん」
ペラっと紙を見せるとダーツはニッコリと笑ってそれを見た。トールさんとトードーさんも見て二人は軽く頷いてくれたけど…ダーツは紙を手に取るとまじまじと見だした。
配置図でダーツの顔が見えなくなったけど、多分怒ってる。あれか、こっそり高級ポーションを飲みまくったから怒ってるのかな…?
「………宿屋の間取りは僕も混ぜてよね」
ん…?身体を横にぐいいいっと傾けると辛うじてダーツの口元が見えた。
ダーツの唇は尖っていた。
これは…拗ねてる?
くすくすと笑い出す周りの冒険者たち。少し呆然としてから……胸がきゅーん!ってなって立ち上がってダーツに飛びついた!
「うわっ、ちょっと姉さん!?」
「もちろん一緒にやろうね!仲間外れにしてごめんね!」
「や、やめてよ!僕は別に気にしてないし!でも弟妹が!」
「ネロは厨房、リリエラは酒場と自室以外興味が無いそうだぞ」
わしゃわしゃと頭を撫でると慌てて不貞腐れたダーツもまた可愛い!
そこに来てまさかのトールさんの裏切りによって、ダーツは顔を真っ赤にさせた。レオとリオはこの場にいる。
ほかの弟妹が気にしてないのならば気にしてるのはダーツということだ。
でも気づく。抱きしめてるつもりだったが、完全に抱きつくって感じになってることに。
それでもいいのでダーツの首に手を回してぎゅーっと抱きしめながら弟の成長にちょっぴり切なく感じた。
「という訳で!ポーションもう飲んでもいいですかトールさん!」
抱きついたままトールさんに聞けば珍しくもトールさんがニヤリと黒い笑いを浮かべた。そんな顔も大好き!
「ダーツの機嫌が直ったらな」
まっ!そんなこと言っちゃうのトールさん!
「ちょっと何言ってるのさトール兄さん!」
「じゃあダーツのご機嫌取りだ!うりゃありゃあ!」
笑いながらめいっぱいダーツを撫でていると心得たとばかりのレオとリオも「にいちゃーん!」と言って加勢してきた。
三人掛かりでもみくちゃにされたダーツはその後「もう拗ねてないし怒ってないし!もう止めて!」と羞恥で真っ赤になって本館に逃げていった。
もちろん、レオとリオを伴って追撃をした。




