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中座させてしまったけれど村長さんの反応はとても良い。これでマキエ姐さんを突然引っ張り出してしまったことの挽回になったらいいなあ。と思ったらマキエ姐さんがこっちを見て、村長を紹介するようなポーズを取って、さらに手をあげた。
「…村長を浮かして欲しいんじゃないか?」
「あー、なるほど!」
「ついでにあの辺のガキどもも浮かせてやれよマリィ」
「了解です」
アイズさんの言う通り村長の周りには浮かせて貰いたそうな子供が数人居たので村長と子供たちを浮かせて、浮かせたままぐるっと広場を一周させてから元の場所に下ろした。
『すげー!』
『やべー!』
ただ浮かしただけだけれど本館まで聞こえる子供達の興奮した声が喜びを物語っていてふっと笑いがこぼれた。
「よし、マリィ。農場に戻って俺もアレやってくれ」
なのに隣にいたアイズさんまでそんなことを言うから堪えきれずに声を上げて笑いだした。
レオは自腹で大量の薬草と肥料を、そしてダーツは今回も大量に買い込んできた。
大量の牧草を乾燥させたものと…大量の芋とお酒。その数、私の胸元くらいのサイズの大きな木箱で五箱と私が入れるんじゃないかってくらいの大樽で八個。明らかに私たちで処分しきれる数じゃない。
「ダーツ…これは買いすぎじゃない?」
「いやまあ…原価で買えたから安いっていうのもあるんだけれど今回のこれはちょっと理由があってね…」
「どうしたの?」
「この村、1年くらい行商人が来なくって売り物用の芋が売れなくって困ってたんだって。一年前だよ姉さん。なにか心当たりない…?」
はて。一年前と言えば私が迷宮宿屋を始めた頃だ。まだ一年しかたってないんだなあと思いつつも…ダーツがわざわざ言うくらいだ。そういえば迷宮宿屋を始めてからラクーンシティに行商人がめちゃくちゃ集まったなあ。
「宿屋を始めたこと?」
「惜しい。それプラス転移設備がラクーンに設置されちゃったんだよ。魔物の素材は早く処分しないと傷むから……陸路でこの村を通る行商人が激減したんだと思うよ」
ああー。ダーツの言う理由に頭を抱えつつ納得した。それはなんとなく買わないと申し訳ない…。
「去年の芋は酒にしちゃったんだって。鉱山都市のドワーフによく売れるらしいんだけど…買い付けに来てもらわないとどうしようも無いって…」
「うん、それは買って良いよ…」
わかった、わかったよ。苦笑をしつつ芋とお酒を在庫のマジックバッグにしまってもらう。
「牧草とか飼料はどうだった?」
「それも沢山譲ってもらったよ!むしろ刈らないと邪魔だから刈ってただけだから引き取ってくれて嬉しいって。それはとりあえず農場のほうに積んでおいたよ」
「そかそか、ありがとう。じゃあとりあえず鉱山都市まで緊急を要す物は無いかなあ…」
「あ、姉さん。芋酒の方なんだけど商団や護衛団のみんなに試飲して貰っても良いかな?僕まだ飲めないから値段がつけにくくて…」
「もちろん良いよ!」
村は明日には出発の予定だけど概ね希望したものは買えたようだ。
ダーツとの確認は終わったので、晩御飯をみんなで摂ってから…
「ちょっとトイレに行ってきます」
そう言ってトールさんを撒いた。
食堂から逃げ出して、本館の2階の客室の方へとコソコソ逃げる。




