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めちゃくちゃ怖かったけれど、
あの牙はアイズさんが使うべきだ。ただし持ち手は作ってもらおう。
『主人…済まない…』
トールさんに支えられてやっと立っているとロディがめちゃくちゃ怒られる前の犬みたいな悲痛な表情で私の前で膝を突いた。
え、すごい活躍を見せてくれたのにどうしたのと…ロディを見ると彼は壊れた陽光ランタンを持っていた。
ロディは陽光ランタンを暖かいと喜んで持っていた。
牙は飛んできた。
牙を受け止めてくれた。
そういえばあの時ガシャンって軽めの破壊音が聞こえた気がする。
なるほど牙を受け止めるために落としたんだな。大事なランタンだが、みんなを守ってくれたロディに文句なんて言おうとは思わない。
「大丈夫。むしろありがとう」
身振りでも気にしないでと言うと、ロディはさらに沈痛な表情で…陽光ランタンを見てブツブツと呟き出した。
『…ゴゴウスよ、我に力を。恵の炎の力を分け与えくれたまえ。我はマリーベルの戦士であり勇敢な炎の戦士。ゴゴウスの使いよ、力をちょっとだけ…ほんのちょっとだけだ。極僅かに頼む』
言っている意味はわからなかったけれど。
ロディがつぶやくと割れて灯りを失った陽光ランタンが強烈に光り出した。それこそ太陽かって言うほど眩しく。
「お、おい何をしたんだロディ」
目の前でそれをやられたので眩しさに苦しんでいるとすっと目を覆うようにトールさんの手が顔に当てられた。さすがトールさん気遣いが助かる。
『ゴゴウス神の使いの力を借りたんだ。だが…済まない、やはり強すぎたようだ。あの灯りのように程よい加護は与えられなかった』
いや何言ってるの??十分やばいことをされたのは私でもわかるけども。
その後ロディ式陽光ランタンはレオが錬金術で調整をしてくれた。けれどその光はとても強く…そして陽光ランタンと同じく植物に恵みの光となる効果があった。
光が強ければ、今までよりも高い位置に設置すればいい。
高さが足りなければもっと上に拡張をすればいいのだ。
「ロディすごいね!これで光魔法問題が解決したよ!」
『おう?嬉しそうだな主人』
アイズさんの覇気と爆音は動物たちにも届いてしまったらしい。
となると訓練所のためにも牧場はもっと上にも横にも広く作らなくてはいけない。
もっと、もっと拡張だ。
そんな風に張り切っていたが、村に着いてしまった。
そういえば午後には村に着く予定だった。色々なことがあって完全に忘れていたけれど。
嬉しそうなロディの顔と嬉しそうアイズさんの顔を見て、私も嬉しくなって笑顔を浮かべた。
と言うかロディは戦闘だけじゃなくって魔法も出来るのかと一瞬考えたけれどなんか怖くなったのでその件については考えないことにした。




