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みんな、心配をしていたんだ。
腕と目を失ったアイズさんが今まで通りに戦えないことを。
そしてーーー空気が変わった。
本気の一撃のためにアイズさんが深く息を吸っただけなのに…凄まじい威圧感が飛んできた。
足が震えるほどの威圧感を感じるとトールさんがそっと後ろから抱きしめてくれてロディが前に出て軽く盾になってくれた。
冒険者のみんなは当然ながら平気だけどこの威圧感は一般市民には辛い。
リオなんて結界何重にも張ってしのいで、真剣にアイズさんを見ていた。
ーーーそうだね、リオもレオもアイズさんが大好きだもんね。
誰もが見守る中
アイズさんが壁をーーー切りつけた!
ガキィィィィン!ガンッガンッ!ガガガンッ!
「あ、やべえ!」
空気が痺れるほどの爆音。そして直ぐに何かが何回もぶつかる音が聞こえた。
と思った瞬間、斜め上から飛んでもない速さで…牙が飛んできた。
即座にトールさんに抱かれてその場からシュッと冒険者達が退避する。
リオは…!
リオはエストラさんに抱えられて退避していた。
誰もが退避したと思ったがその場には一人だけ残っていた。
褐色の肌の…ロディだ!
「危ない!」
「避けろ!」
もうぶつかる。その瞬間みんなが悲鳴を上げた。
が、しかし。
ガシャン!
『おいアイズ、危ないじゃないか』
ロディは飛んできた牙を両手で受け止めた。さすがに勢いは殺しきれなかったのかその巨体がズズズと後ろに下がって行ったが、牙を持ったままくるっと回転して…牙を地面に叩きつけた。
グワァァァァァン!
アイズさんの打撃音に負けない爆音がしたが、牙はその場に留まった。叩きつけはしたがロディが手を離さなかったからだ。
「悪ぃすっぽ抜けた!無事だな!?」
『気をつけろよ、主人に当たるだろ』
すぐに焦ったアイズさんが飛んできたがロディは軽く笑って牙をアイズさんに渡した。
壁に当たってすっぽ抜けて、あっちこちに当たって飛んできた末にロディによって地面に叩きつけられた牙は…余裕で傷一つ無かった。ただ、空間の上に敷いていた土が吹きとんだだけだった。
その強度に驚愕するも…めちゃくちゃ怖かったので腰が抜けてそのままトールさんにすがりつく。
「ちょっと!!すっぽ抜けたじゃないわよ!めちゃくちゃ危ないじゃない!」
「そうだお前何しやがってんだ!」
「ロディが止めなかったら跳弾がやばかったじゃねえか!」
アイズさんはみんなにめちゃくちゃ怒られていたけれど、それでも嬉しそうに牙を持っていた。




