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胃の中が空になっても吐き気は収まらず、トールさんに心配そうに背中を撫でられて……落ち着いてくると医務室に運ばれてベッドに寝かされた。


「魔力回路が完全に弱ってますね。ポーションの飲み過ぎです」


知ってた。

絶対にそうだと思ってた。


だが口を開けば吐きそうで、ぽんっとギルド職員の治癒魔法使いのおじさんは私の額に手を置いて優しい柔らかな魔力を送ってくれた。


「マリィが倒れたって聞いたけど平気か!?」


「大丈夫じゃありませんよ!こんな小さな子になんて過酷なことをさせるんですか!?中級ポーションを沢山飲ませるなんて貴方は馬鹿ですか!!」


「悪い…その、マリィは大丈夫か?」


「度重なる回復で魔力回路が完全に弱りきってます。二日は安静が必要ですね。もちろん破棄ポーションも飲んじゃダメです」


なんですと!!

ふ、二日も拡張が出来ないなんて…!と思うもまあ確かにこの状態では飲む気も起きない。


ギルマスが怒られてるのを聞いていると少し体が楽になってきた。

ので目を開けるとトールさんが心配そうに私の手を握りながら見つめていてくれた。


「ギルマス…」


「お、おおお、大丈夫かマリィ。悪いな無茶をさせて」


「だいじょうぶです。それより、鞄を……」


「いや、無理するな。マジックバッグは諦めていいから」


「嫌です。ここまでがんばったんだから、仕上げだけします…」


「お、おお?おお、わかった。これに頼む」


ぴゅっと消えてギルマスが鞄を持って戻ってきた。治癒魔法使いのおじさんに治療を受けたまま、トールさんの手を離してカバンをしっかりと持つ。



『空間を切り離して付与しますか?*注

切り離された空間は元に戻せません』


ちゃんとサブ空間を指定して、魔法を発動する。

光るわけでも、何が起こるわけも無く。

魔力付与は終わった。


「どうぞギルマス…」



そして限界を迎えたのか私はそのまま意識を失った。




目を覚ましても魔力酔いは残っていた。

そして私が寝ているのは医務室のベッドの上だった。


身体を動かす力が湧かずに目線だけ動かしていると、すぐ側に座って仕事をしていた治癒魔法使いのおじさんと目が合った。


「起きたようだね。体調はどうだい」


「ぐわんぐわんします」


「だろうね。とりあえず治るまでここに泊まりなさい。孤児院の方にはちゃんと連絡しといたから」


「はい」


「話を聞くくらいなら大丈夫そうかい?」


「大丈夫です」


それは良かったとのほほんとおじさんは笑ってから事の顛末を語り出した。


何と、領主様が厄介な流行病に倒れたそうだ。その治療薬は迷宮18階付近にいる魔物からしか作れないそうで……冒険者ギルドに緊急依頼として依頼が持ち込まれたそうだ。


地下18階に行ける冒険者は、複数パーティ居るそうだ。

正確には18階で食料問題と魔物の素材問題に直面して現在はマジックバッグ購入のために金策をしていたところだったそうだ。


マジックバッグはお値段はそこまで高額では無い。だが、ほぼ市場に出回らない。

余談だけどトールさんのパーティもランクアップとマジックバッグ購入のために最近はギルドの雑事をこなして情報を集めていたそうだ。


兎にも角にもマジックバッグさえあれば依頼は受けられる。

そのため現段階でギルドで一番空間魔法スキルが高い私に白羽の矢が立ったようだ。



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