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番外編 悪い王族

評価10000ポイントありがとうございます

ワァ───ヽ(*゜∀゜*)ノ───イ



「早くしないと空間師が帰ってきてしまいます!逃げられてからでは遅いのですよ!今こそ奪われた領土を取り戻すべきです!」


円卓会議室で声高々に語る愚弟。更には愚弟に追随する馬鹿を神輿に担いだバカ貴族共。


「その必要はありません」


入口を守る兵士を労って、そう言いながら会議室に入ると場の視線が一気に集まった。

異母弟は憎々しげに、父は疲れきった目でこちらを見ている。


「どうも失礼しますよ」


共に中に入ったのは……先程まで愚弟が攻めるべきと謳っていたラビッツ王国の大使で、燃え上がっていた貴族たちも一気に沈静化した。当然だ、大使の前で攻めるべきなどと言えるはずもない。まあ扉の前で全て聞かれていたけどな。


「先程ラビッツ王国との和平条約は結ばれた。先代の統治時にラビッツ王国の傘下となった領地も返還して頂けるそうだ」


「なっ!?対価として何を差し出したのですか!?」


馬鹿神輿を担ぐ一人の高位貴族が真っ直ぐにこちらを睨む。

まあ、戦争を起こすほど奪い合っていた土地を戦無しで貰うのだ。当然、対価は安いものでは無い。

ーーーむしろ対価は高すぎる者だ。


「空間師だ」


我が国に産まれた空間魔法の天才児。いくつもマジックバッグを作り尋常じゃない才能を見せる少女。

国王自らが後見を名乗り、そして愚弟が自らの地位のために利用しようとした者。


「なんて事を!」

「彼女がどれだけ我が国に利益をもたらしてくれたか!」

「王が保護するものを勝手に動かしたのですか!?」


非難轟々。愚弟を担ぐ者共は私の政敵でここぞとばかりに非難をしてくる。言うだけ言わせて、一人一人じっくりと見ていく。


黙って見ているうちに居心地の悪さを感じたのだろう。一人、また一人と口を閉ざしていく。


静かになると王が一言「報告せよ」と言った。


「はっ。戦に利用されると言う情報を得た空間師は争い事を拒み親しいAクラス冒険者十数名と共に国外に逃亡を致しました。不信を与えた時点で我が国にはもう居て貰えないと判断し、彼女を保護する者にコンタクトを取り条件付きでラビッツ王国へと行ってもらうように頼みました。ラビッツ王国には我が国秘蔵の空間師を派遣するという事で和解調停に成功致しました」


「条件とはなんだ?」


「この先空間師が他国に圧力をかけられた時に後ろ盾になることです」


「なるほど」


空間師には国外に行ってもらわねばならなかった。

愚弟のせいでここまで軍事利用する声が高まってしまえば、国内にいては最早拒むことは出来ない。

空間師が軍事利用されては、困るのだ。愚弟の派閥が大きくなってしまうから。


幸いにも平和を望む空間師と私の利害は一致したので、軍事利用の話を彼女の保護者に流し、彼女の国外逃亡をそれとなく補助した。

ーーーどうせ国外に出すのならば、最大限の利益も引き出し且つ彼女との繋がりは保持したい。これは私の打てる最適手だ。


自分が原因で空間師に逃げられたと知った愚弟は顔を赤くさせたり青くさせたり、とにかく忙しそうだ。無様なことこの上ない。


「逃げるのがわかっていたのならば、捕獲もできたのでは!?」


「相手は高位空間師と高位冒険者達だぞ?護衛たちも強いというのに、彼女も触れるだけで空間に閉じ込める能力持ちだ。どうやって捕獲するのだ。まさか、一師団を犠牲にする覚悟で挑めと?罪を犯した訳でもない少女にそれほどの戦力を投入しては他国からの詰問は免れないだろうな」



空間師の捕獲は最も理想的だが最も困難だ。ドロワ卿からの報告書を読んでそれは理解した。

護衛の冒険者達はいつも数人彼女の側にいて隙がなく、彼女が収納出来る容量は小さな村ならばまるっと行けるとの見解。

ーーーー大変危険極まりない存在だ。

恩を売り、反感を抱かせずに適度な距離感で利益を吸い上げて飼うのが一番最適だった。父は一番最適な手段で飼っていたのに…全く、あの愚弟は。迷宮探索だけで満足していれば良かったものを。王位を求めて父の飼っているものに手を出して、逃がす羽目になるとは。



父は黙って目を閉じている。


私は有利を、弟は不利を確信している。


ーーーーーそして長考の末、父が下した決断は愚弟の王位継承権を第二王女…今年四歳になる娘の下に下げると言うものだった。


事実上の、王位継承権の剥奪も同然の処罰だった。





「全く、わしも『空間内』とやらに入ってみたかったものを」


「彼女達は安全を万全に整えたら戻ってきますよ」


それが永住とは限らないけれど。そこはもう壊れてしまった信頼は取り戻せないので仕方ない。


「ふむ、ならば空間師殿の立ち位置を磐石にするためにあやつらを罰さねばのう」


「生家である孤児院に護衛を送ります」


「いや、あっちはドロワの方が先手を打っておる。とりあえずは…あのバカを何とかせんとなあ」


父は馬鹿ではない。俺と弟のどちらが後継にふさわしいか見定めて居ただけに過ぎないのに、許されていると思い調子に乗った愚弟。


おそらく近いうちに愚弟は表舞台から姿を消すだろう。

その時には空間師を呼び戻せたら良いのだが。



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― 新着の感想 ―
[一言] ロディが付いた今一個師団投入したところで全滅しそうだw
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