表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/531

番外編 それは18年目にして確認する、彼の夢

ブックマーク2000件ありがとうございます。

あ、あれ数日前に1000件感謝したばかりのような…(°◇°;)



私がめちゃくちゃ怒られた割にロディさんはみんなに普通に受け入れられた。


「ほら、これ被っとけよ」


『おう!助かる!これは!なんだこのふかふかな感触は…!!』


恐らく売り物だったであろう雪国用の布団を貰ってはしゃぐ彼に、さらに商団のおばさんがニコニコと近付く。


「そのままじゃ動きにくいだろう。ほらこれで止めてあげるねえ」


布団の隅っこを二つ止めてもらってまるでマントみたいなモコモコ布団にはしゃいでくるくる回るロディさん。

見た目ゴツゴツムキムキで真っ黒の肌で明らかに普通じゃないのに、無邪気すぎる彼は完全にマスコットポジションになっていた。


「良いどすか?一番眩しいのは直接目で見ちゃダメどすよ?」


『わかった!』


「絶対に馬車が見える範囲から遠くに行くなよ?」


『おう!』


「小さい魔物が出ることもあるから気をつけ…これは平気そうだな」


『襲われたら殺せば良いんだな!』


今から初めて地上の世界に出るロディさんに注意をしているのはマキエ姐さん、トールさん、エストラさんだ。当のロディさんは『青空!』が楽しみすぎて耳に入ってるのか怪しいが。

ただ外を見るためだけなのに今馬車はわざわざ停止している。


それだけロディさんのことを皆が気に入ってる証だ。


「おっと、悪ぃマリィ」


「大丈夫ですけど無駄に語感がいいですね」


不意に後ろから来たアイズさんがぶつかってきて、茶化して返すもののちょっぴり切なくなる。

笑顔の彼の目と腕は一つしかない。今までの彼ならば私にぶつかるなんて無いだろう。恐らく片目で距離感がおかしくなっているんだ。


「悪ぃって。それにしてもアイツ、可愛がられすぎじゃねえか?」


「見た目と違って中身は純粋な青年ですからねえ」


「違いねえ。ありゃ、ただの馬鹿犬だ」


心配性三人に延々と外の注意事項を言われて、全部真剣に聞いて頷くロディさん。アイズさんのせいで犬耳と尻尾が見えてきたのを強引に振り払う。


「ほら、先に行こうぜ。土掘るんだろ?」


「そうですね」


皆がロディさんに夢中な間に扉脇に準備してあるシャベルを持って二人で外に出る。


「おー?あれ、あいつらは?」

「話が長ぇから置いてきた」

「マリィじゃあるまいし、ドラゴンでも襲ってこない限り余裕だろあいつ」


今日の馬車の護衛はドラ殺の武道家、トレビィさんだった。

停まった馬車の近くには草も生えてない土が大量にある。どうやらこの辺の表面の雑草が生えた土はトレビィさんが回収をしてくれたようだ。


汗を手布で拭く姿にそうだ!と思って空間からポーション瓶…に入ったお茶を出して渡すとトレビィさんが受け取る前に首を傾げた。


「どうした?ポーション使うほど疲れてないぞ?」


「あ、これはお茶です。カップに注ぐよりも使いやすいかなって」


「あー……いや水筒に入れとけよ」


「数がいっぱいあって飲みやすくて良いんですもん」


「ポーションと間違え…無いか。まあ、有難くいただくよ。サンキュな」


でも確かにと、瓶を開けて飲むトレビィさんを見て思う。

水筒今度十本くらい買っておこう。見た目が完全に回復薬を飲んでいるようにしか見えない。


「おーい、マリィこれ入れろー」


「あ、はーい!」


トレビィさんとそんなやり取りをしていると、アイズさんは今の間に私の身長ほどの木を根に土が着いた状態で掘り出していた。

……早くない?

片手なのにすごい勢いで土を掘るアイズさん。


腕がなくってもアイズさんはやっぱり強くて頼りになるなあ。


木と土を牧場にしまって、さらにトレビィさんとアイズさんと街道脇の土を穴にならない程度に表面を回収していく。

しかしロディさんはまだ出てこないのかな。


そこそこ土の回収をしてもまだ中の人たちは出てこず、大きめの石の上で三人でお茶を飲みながら休憩をする。


「そういえばよー…」


休憩タイムも欠かさず拡張をしていると不意にアイズさんが何気ない声で喋り始めた。


「ラクーン迷宮の下層についてな、ロディに聞いたんだ」


ラクーン迷宮の下層。それはアイズさんたちが目指す場所で。自分が知らない情報を聞いた話で得ることがアイズさんにとっていい事なのか悪いことなのか判別がつかないので、思わず硬直する。


「28階よりもちっと熱さが上がって、そこで熱さはおしまいでな。俺たちはマグマ泳ぐ亀くらいしか知らねえけど、トカゲとか鳥とか、よく分からん生き物とかいっぱい居るんだってよ」


ーーーでも、そんなことは杞憂だった。

腕と目を失っても。どうしようもない壁にぶつかっても。

アイズさんはキラキラした目で嬉しそうに迷宮を語っていた。


「ロディとも約束したぜ。どうもあいつらの住処は最下層にあるらしいから…ラクーン迷宮を踏破した暁には、あいつん家で祝杯をあげるってな!!」


「…なら装備とか、エリクサーとか頑張らないといけませんね!」


「ああ!ありがとうなマリィ。俺の夢がまだ続くことが出来るのはお前のおかげだ…時間かかって悪ぃがもうちょい付き合ってくれや」


「もちろん!」


孤児院の皆やギルドの皆にまた会いたかったし!

ラクーン迷宮も踏破しないといけないし!


この夢は叶えられないかもしれない。まだまだ長い道のりの先の未来なんて見ないけれど。

私も、アイズさんも。

いつか絶対あの街に戻る。


そう誓って、アイズさんとトレビィさんと笑い合った。


『うおおおおおおおお!なんだあの色は!見たことな…眩しいぃぃぃぃイイ!!!うおおお、目が、目があああ!』


そんなタイミングでロディさんの絶叫が聞こえた。

彼もまた手段を選ばないで上に出てくると言う夢を達成した人物だ。


「おっせえよ」


「とりあえず今回はロディさんに祝杯を贈りましょうか」


「…そうだな。くそ、あいつに先越されたのか!やあっときたか!おっせえよ!!」


座っていた石を降りて、皆に笑われながら目を押さえてのたうち回るロディさんの元へ三人で行く。


ーーーーー私たちの冒険は、まだまだ始まったばっかりだ!

余談。


「あ?ネタバレ嫌じゃねえのかって?事前の情報収集は基本だろ。情報ひとつにも命がかかってんだからよ」


「…確かに!」


「命は一個しかねえからな。聞ける情報はデマでもなんでもとりあえず集めとくのが基本だぞ」


「はーい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] この地底人?に帰還のスクロール使わせたら一気にショートカットできて、行き来できるようになるんじゃ?(夢もロマンもあったもんじゃないが)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ