番外編 それは十日目にしてする遅すぎる報告
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「実は…みんなに紹介したい人がいるんです…」
食堂の椅子に座り、テーブルの上で両手を組んでそこに額を乗せて呟く。重々しく言ったからか、それまで賑やかに雑談をしながら食事をしていた護衛団も商団も静かに私を見た。
「特にマキエ姐さんとトールさんとダーツ辺りに…」
顔は見られない。目も見られない。
合わす顔がない。
「姉さん誘拐でもしてきたの?」
困ったような声でダーツの声が近づいて来たと思ったら私の前に座る音がした。
「……嫌な予感がしますわあ」
ここ数日でだいぶ交流をして仲良くなったと思われるマキエ姐さんの声も近づいてきてやはり私の前に座る音がして。
トールさんは元々私の前らへんに座っていた。
これでこの商団の指揮系統が揃ったわけだけども。
ゆっくりと伏せていた顔を上げる。すると苦笑いで話の先を促す表情を浮かべる三人がいた。
始めは忙しくてそれどころではなく
次はなんて紹介をしようか迷って
最近は時間が経ちすぎて何をやっても怒られる気がして
ーーーー怒られるのが怖くて、時間が過ぎるほど危機感を募らせた(イマココ)
「ちょっとこれ飲んでください」
テーブルの上にコトリと三本のポーションを置く。
トールさんだけはそのポーション飲んだことがあるからか、顔を引き攣らせたけれどダーツとマキエ姐さんは首を傾げながら飲んでくれた。
“彼”は時間停止空間に居るから、きっとまだポーションの効果中だと思う。
私達も、周りも静かに見守る中ーーーーロディさんを放り込んだ空間を開いた。
そしてぱちぱちと火が爆ぜる暖炉の前に取り出した。
『お、おおう!暖か……主人、ここはどこだ?』
「ちょっと説明は待ってくださいね。紹介します、迷宮地下に住んでたロディさんです。私に主人の誓いをしてくれました」
静観の沈黙が……唖然とした驚愕の沈黙に変わった。
私は怒られる前の、子供のように縮こまった。
「……迷宮地下って、前に僕が倒れた時に会ったって言う人?」
「……はい。その時に売った恩を返すのと地上の世界に行ってみたいと言うので…連れて来ちゃいました」
「…マリィはん、そのお方偉いやばそな空気を纏ってはるんですが、人間どすか?」
「………多分?」
「……俺たちを助けたのは、お前か」
『ん?ああ、あんたはいつぞやの!!すごいなあれだけ酷い怪我を負っていたのにもう治ったのか?』
半目でマキエ姐さんとダーツに睨まれる中、ロディさんは笑顔でトールさんに話しかけた。トールさんも警戒をしているようだがどうやら助けられた記憶?があるらしく強く言えないようだ。
そうだ!ロディさんはみんなを助けてくれたから!
これは許してもらえるかもしれない!!
ーーーーーそう期待した時も私にはありました。
「善悪不明な迷宮地下の人(?)を連れてくるなんて何を考えてるのさ!!!」
「頼もしい護衛は歓迎どすけど!?でも、ペットや人はホイホイ拾って来たらあきまへん!!」
「報告にあったけどAランク冒険者でも行けない奥のエリアから来たんでしょ!?強すぎて危ないじゃないか!?」
「もうお姉ちゃんなんどすから、その辺しっかりせんとあきませんよ!?」
「だいたい姉さんは!孤児院にいた時も小鳥を拾ってきて取り返しが付かない大きさになるまで隠れて飼ってたよね!」
「空間になんでもかんでも隠すんじゃありません!」
マキエ姐さんとダーツに怒涛の如く怒られる。反論ひとつする間もない息の合った連携プレイに涙が滲む横で、ロディさんは持ち前の明るさと好奇心ですごい勢いでみんなと交流を深めていた。
「助けてくれてありがとうな。なあお前、下から来たって本当か?」
『ああ。俺は君たちに出会ったところよりもずっと下から来た!ここはどれくらい上の世界なんだ?』
「それで言うと一番上だよ。あの熱い世界で本当に大丈夫なのかい?」
『君たちがいた所より少し下からは熱さがほぼ同じになるから大丈夫だよ。むしろ俺はあの熱さの中で産まれ育ったからな』
「良い筋肉してるな。手合わせを頼みたい」
『主人の許可が下りれば俺ならばいつでもいいぞ!』
「すごい真っ黒な皮膚だなー」
……私も、あっちがいい。
じーっとロディさんの方を見ていると、ダーツに頭を鷲掴みにされて目線を移させられた。
強制目の前には笑顔なのに怒りマークが見えるダーツとマキエ姐さん。
ーーーーお説教はまだまだ長くなりそうだ。
ほんっとに、もう、ごめんなさい……。
感覚的に、子供がライオン拾ってきたような状況(ロディは筋肉と威圧感でパッと見でヤバイ系の人)




