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「今の私はメインで使ってる空間の他にいくつも空間を作れるんですよ。と言っても拡張に時間がかかるのでぽいぽい作れませんけど。サブ空間で良いならそれでマジックバッグを作れますが……」
「サブ空間とやらはどれくらいだ?」
「これくらいです」
と言って1m四方を手で表現すると、ギルマスはうーんと考え込んだ。
なんだろう、それでも一般的なマジックバッグよりも大収納な筈だけどまだ足りないと言うのか。
「ちなみに一日でどれくらいサイズアップは出来るんだ」
「えーっと、破棄ポーション20本でMPが700くらい回復できるので拡張が70回だから…一日で70cmほど縦横高さのどこかを伸ばせます」
「んなケチくせえこと言わねえよ。お前なら元は取れるからな、中級ポーションを飲み放題飲んでいい。とりあえず今日の仕事は空間拡張に費やしてみてくれないか。ただし無理のない範囲で、だ」
「ふぁ、了解しました」
事務所の隅っこの机の上に、ギルマスが言った通り中級ポーションが20本ほど積まれ。
隅っこでそれを飲みながら黙々と拡張を使う。
と言っても中級ポーションは凄かった。たぶん25%ほど回復をする。270程回復するので一本で27cm拡張だ。ただこれ一本5000ロイだけど。それが20本で10万ロイ……物質付与のスクロールと言い、ギルドの本気がやばいくらい窺えた。
そのギルドも、だ。
職員全員がいつもより慌ただしく走り回っている。なにか問題があったのだろうが余りにも忙しそうすぎて聞くことも出来ずに黙々と拡張を重ねた。
何とか夕方までにサブ空間を2m x 2m x 2mまでのサイズに拡張は出来た。
が、今までちょびっとのMP回復を繰り返していた時はなんとも無かったのだが……
中級ポーションで四分の一回復を繰り返すと、酔った。すごく気持ち悪い。破棄ポーション無双はお腹がタプタプになり、中級ポーション無双は魔力酔いをするんだなーと机に突っ伏しながら思った。
吐く。本気で吐く。と言うか吐きたい。
「ま、マリィちゃん大丈夫…?」
「吐きたいです」
「きゃー!ちょっと誰かマリィちゃんをトイレに…トール運んであげて!!」
タイミング良いのか悪いのか、たまたま冒険者ギルドに居たトールさんにサッと抱かれて他の職員の先導で職員用トイレに連れ込まれた瞬間、
ピーーーーーー
吐いた。それはもう、見事に吐いた。
と言ってもポーションは既に吸収済みなので昼食と胃液を吐き続けた。




