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・雇用契約
空間師マリーロズは商団主マキエ直属の雇用とする。
空間師マリーロズは自由に直属の部下を雇うことが出来る。
空間師マリーロズは売上の10%を商団維持費として毎月献上すること。お金または物品でも良い。
空間師マリーロズは特別な理由なく商団から離れてはいけない。
空間師マリーロズはマキエの指示にはなるべく従わなければならない。
空間師マリーロズはマキエの部下を宿に泊める場合お金をとってはいけない(ただし炊事洗濯などはしなくていい)
マキエは空間師マリーロズから過剰に搾取してはならない(最大でも年収の15%までにすること)
マキエは空間師マリーロズの希望と要望を一般常識の範囲で尊重しなければいけない。
マキエは空間師マリーロズの事務手続きを代理で済まさなければいけない。
マキエ……
みっちり書かれた書類を一文一文読んでいくけれど。
えーっとつまりは、だ。
まず
マキエ商団と言う大きなグループがあって
それが小分けした一つが私、マリーロズグループで。
売上の10%を渡す代わりにおそらく入国審査とか税関などの細々したことを、マキエグループの誰かがやってくれるのだろう。
これは正直ありがたい。書類手続きは面倒だからね。
んでもうひとつ目立つのが商団の人を泊めて、金は取るな。でも炊事洗濯はしなくていいって言うのは場所だけ提供してってことだろう。
あとは過剰搾取や逃亡しちゃダメとかまあ常識範囲の扱いを互いにするっていう宣言みたいなものだ。
ダーツが渡してきたのならば彼も精査してあるのだろう。問題なく見えるし、問題は無いと思う。
「ちなみにこれを見る限りこちらからの提供は宿だけのようですが倉庫代わりとかは要りませんか?」
「めっちゃ欲しいどす。でも大丈夫でっしゃろか?」
「あ、だ、大丈夫ですよ」
食い気味に言われて若干引きつつも、立ち上がってマキエさんの前に立って右手を差し出す。
「よろしくお願いします、ボス」
「こちらこそよろしくお頼もうします。立場上うちが上司になりますけど、うちはお嬢ちゃんをパートナー思てます」
「ありがとうございます」
「じゃあもう行きますえ。マリィお嬢ちゃんをフライングで狙うやからも居るでしょうから、一刻も早く逃げるべきどす」
そう言われて、少し不安になる。
ギルドの皆とか
孤児院のみんなに挨拶をしたい。
そう思ったのだけれど…
「姉さん、姉さんが挨拶に来て捕まったらシスターや院長は絶対怒るよ」
「……恐らくこんだけ盛大に治癒院を利用したからな、帰還報告は行ってるだろう。ギルドも孤児院も行かない方がいいだろう」
ダーツにもガンツさんにも止められて、グッと堪える。
するとリオが横からひょいっとこちらを見上げてきた。
「姉ちゃん、捕まらないようになったらまた戻ってこようよ」
「そうだよ姉ちゃん、ここは俺たちのふるさとだからね」
反対側からレオも覗き込んできて……ふっと笑って頷く。




