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「こちらへ」
『ああ。やはり彼は君の仲間だったのだな。溶鉱蜥蜴に襲われて瀕死だったので目に付いた者たちを連れてきたのだが』
ほかのみんなも瀕死。ぐっと歯を食いしばって、床に寝かされたムサシさんに上級ポーションをかけて、一部を飲ます。
落ち着け。私はポーションをかけることくらいしかできない。
それにダディオさんに渡したカバンは時間停止バッグだ。
みんなの容態が気になるけれど、全員を出してもらう訳にはいかない。
ーーー治療できるか分からないから。
「全部で何名保護しましたか」
『彼も入れて14名だ。足りないのなら探してくるぞ』
「いえ、全員居ます」
『そうか。こいつが一番軽傷だ』
この酷さで一番軽傷って。
ぐっと涙を堪えて、ムサシさんの様子を見守る。上級ポーションの効果は流石で火傷はみるみるうちに綺麗な肌へと切り替わっていきーーームサシさんが目を覚ました。
「マリィちゃん!?俺はっ!」
「落ち着いてください。ムサシさん達は大怪我を負っているところをダディオさんに保護されました。13名は今はダディオさんのマジックバッグに居ます。帰還しますけど、良いですよね」
ムサシさんはダディオさんと私を見比べて混乱していたが、重々しく頷いた。
と、なるとだ。ダディオさんにはみんなが居るマジックバッグを譲ってもらう必要がある。
「ダディオさん、久しぶりに会ったのに不躾で申し訳ありませんが、仲間の入っているマジックバッグを貰うことは出来ませんか?」
褐色の、背の高い、半裸に等しいとてもガタイの良い彼を見上げると彼はその場に座り込んだ。
『それは構わない。構わないんだが、俺から君に一つ頼みたいことがある』
「……なんでしょう」
迷宮奥の住人である彼の要求。
ポーションなどで済むのなら良いのだけれど。足元を見られてふっかけられないかと怯えていると、彼は豪快に笑った。
『君のおかげで母の足は再生した。俺はとても感謝している。ゴゴウスの民は恩義を忘れない。それに俺は上の世界も見てみたい。故に、俺の主人になってくれないか。母を助けてくれて、夢も叶えてくれるのならば俺の生涯を君に捧げたい』
主人、とな?
は?え?キラキラした目で見上げられて返答に完全に困り呆然とする。
「マリィちゃん…どうした?大丈夫か?」
ムサシさんの心配そうな声にはっと我に返る。そうだ呆然としてる暇はなかった。
「主人とはどういう意味ですか」
『主人とは仕えるべき主。命令を遵守して命をかけて守るべき存在だ。主人を裏切れば誓約の刃が心臓を貫くだろう』
お、
重い…。
町娘の私にそんなのはいらないのだけれども。
仲間たちは、彼のマジックバッグの中。
そして地上に帰還するには一度迷宮に出ないといけないので護衛がいる。
ムサシさん1人ではマグマ程度ならばともかく、魔物が来たら一巻の終わりだろう。
治癒したとはいえ体力を随分奪われたのかふらついているし。
ムサシさん以外の方を出して治療するという手もあるが…治しきれるか不明だ。




