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「わかってると思うが、ここの魔物は攻撃は大したことないがマグマと、熱くて触れない甲羅が非常に厄介だ。命を何よりも大事にしろ。ここにいる誰か一人でも欠けたら………マリィが泣くぞ」
「縁起でもないこと言わないでください!号泣しますけども!」
アイズさんがからかうように縁起でもないことを言うから怒ると、全員が楽しげに笑った。
全く、緊張感が無いんじゃないか。
こちらは心配で心配で心配で………お腹痛くなってきた。
いつもは余裕そうなみんなの真剣な会議はそれだけ難易度が高いことを示していて。
さらに人間も溶けるマグマとか恐怖でしかない。
本当は心配で心細かったけれど、その夜は銀華内でも作戦会議をするということでトールさんとちゃんとした時間は取れず。
「…ごぶじでぇええええ!!」
「…帰ってくるから、泣くなマリィ」
「おいおい、欠ける前から泣いてちゃ涙腺持たねえぞ」
「縁起でもない!!!」
「…ありがとうマリィちゃん、おかげでちょっと緊張はほぐれたよ」
翌朝のお見送り、トールさんが苦笑いを浮かべて涙を拭ってくれるほど号泣し。
そんな私につられてお見送りに来た弟妹達も号泣し。
結果、優しい冒険者達は私たち全員の涙を拭ってから笑顔で迷宮へと旅立って行った。
早ければ明日。遅くとも三日後までには絶対に撤退してくると笑って言った、大切な仲間たち。
心配で心配で、出入口を見つめる。
「はい、姉ちゃん」
「お茶と軽食取ってくるわね」
するとわかってるとばかりにレオは毛布を渡してきて、リリエラとネロはニコッと笑って食堂へ行った。
「枕とってくるー」
……弟妹に慰められるなんてお姉ちゃん失格だ。
ぐっと歯を食いしばって……その場にベッド代わりの台をいくつも設置した。
「今夜はここで寝よう!でも、みんなが帰ってくるのは早くても明日だからそれまで仕込みしよう!」
そう大きな声で言えば、レオは毛布を持ったまま嬉しそうに笑った。
「わかった。俺は中級ポーション作る練習してくるね」
「うん!私は厨房に行くね!」
不安の上に笑顔を貼り付けて作業をして。
夜は昔みたいに玄関でみんなで寄り添って眠って。
眠る直前まで拡張を使っていたのだけれど。
……突然、トールさんに貰った指輪がパキィンと音を立てて真っ二つに壊れた。
めちゃくちゃ縁起が悪すぎて、背筋に寒気が走った。




