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惚れた欲目を使うなんてずるいと思いつつ1個残して卵をしまって……残った一個を持ち上げる。
両手でしっかりと抱えないといけないサイズのそれは、かなりずっしりと重かった。
卵、卵。これだけいっぱいあったら揚げ物も良いかも。
冒険者達は肉料理が好きだから、オークのトンカツを卵でとじて…付け合せは玉ねぎと卵のスープ辺りを。
全員分作っても余裕で余りそうだからそちらは製菓に回して…と思っているとひょいっと卵は没収された。相手は言わずもがな、トールさんで。
「プリンなんかも食べたいな」
そんな可愛いことを言うものだから、溜息を吐いて彼の腰に手を回して抱きつくも悔しいかなふらつきもしなかった。
卵も抱えているのに、本当ずるい。
「え、じゃあアサシンズはドロワ様に雇われたんですか?」
「うん。戦闘を見せたりアドバイスをするって仕事。報酬はここの宿泊料金と、毎日18時間の自由時間だよ」
と言うと毎日六時間仕事か。
六時間仕事、睡眠や休憩を取っても10時間は狩りの時間が取れる。ならば中々に黒字かなあ。
「助かったよな、地上で暇で仕方ないから転移装置で違う迷宮行くか迷ってたし」
「エストラが二日酔いになったおかげでタイミング良かったよな」
「お前も二日酔いだっただろ」
軽口を叩き合うアサシンズのみんなに。それから銀華。ドラ殺へと食事を出す。
いつもならリリエラが手伝ってくれるのだけれど、現在リリエラは弟妹が使っているテーブルでダーツと激しい議論を重ねている。レオとネロとリオも生産者としてそっちで会議中なので私がせっせと運んでいるのだ。
そしてさらっとリッツさんも牧場生産担当として私の席に座っている。
「だから、販売を製菓だけに頼りきったら終盤は数量限定になるのよ!?」
「…そうだな。今後のことを考えると鶏はもう少し増やしておきたい。保存は効くのだから通常の宿屋で毎日余るくらい産めるようにしておきたいかな。だから卵は今回はファイアーバードの卵で代用して何とか凌げても…。牛乳はまあ、製菓だけに使っても足りないと思う」
「ポーションも、薬草の生育しだいになるけど微妙かなあ…」
「製菓とポーションの他に、なにか分散するような売り物か…」
「とりあえず今日の販売時に何が欲しいのか市場調査は入れてみるわ」
「そうですね。で、現在の在庫は…」
今までお菓子とポーションに販売が極化していたが、補充が入ってなおやはり在庫が心もとないらしい。
食事は軍団で出る。となると売り物は…
肉はいっぱいある。一応肉系のつまみも作っているものの、売れ行きは芳しくない。
うーんと考えながらドラ殺と銀華の間に座って食事を摂るみんなを見ながら、売り物について考える。けれどもこれといった物は出てこなかった。




