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第6章も痛い表現がありますのでお気をつけください
「あー、こっちは畑でおねがいします」
「了解です」
「アンダルクさんどうですか?」
「粘土が欲しいところですね。この土って森の表面の土なので枯葉などの肥料の元はたくさんあっていいんですが、水はけがいいので本来なら下に粘土を敷いておきたいです」
ふむふむ粘土か。
どこで売ってるんだろうか。または森の土を深く掘って持ち帰るべきか。
「とりあえず草などは表面だけで良いですが、樹はまだプランターで植えておくべきでしょう。この地面は底が浅いので上手く根付けないと思いますが…」
「なるほど…」
そこそこ広い空間に作られた急場しのぎの牧場。と、畑。表面を覆う土をアンダルクさん筆頭の土魔法の使い手が整えて、上部には陽光ランタンをたくさん設置してもらっている。陽光ランタンは光魔法の使い手と軍の錬金術師の人で作ってもらった。なお、錬金方法そのものはレオも教えてもらったそうだけど残念ながらうちの身内には光魔法使いが居ない。
別のことに陽光ランタンの作り方を使えないかなってレオがマッドな研究を始めそうなのはもはや御愛嬌だ。
「しかし…正気ですか?」
「なにがですか?」
「いや、貴重な空間で農場を作るなんて…それなら地上で土地を買ったほうがよっぽど土地単価は安いでしょう…陽光ランタンの維持にもお金がかかりますし」
何馬鹿なことをしてるんだと呆れてますけどね、家畜を持ってきたのはあんたのとこの総隊長だよ!?
突っ込みたくて仕方がなかったけれど何とか喉元ですんでのところで止める。
「まあ、私は地上にはほとんどいませんので」
「ねえちゃーん、牧草の種まき終わったよー」
「薬草の種も植えたよー」
「お疲れ様」
とりあえずの設置が完了したので、20mx20mx2の空間に牛と鶏を放つ。
牛小屋や鶏舎はさすがにない。畑の敷地を柵で覆って入れないようにしただけの放牧スペースに乾燥した牧草と、水飲み場を兼用した池を設置しただけだが、まあ外敵は絶対に入ってこないのでよしとしよう。
あとは問題は世話だよなあ。
鶏くらいならばしたことはあるけれど、牛はわかんないなあ。
と、思っていると意外な人が牛の口元に牧草を持って行っていた。
「リッツさん、牛に慣れてるんですか?」
「俺牧場の三男坊だったからね。マリィ、護衛がない時間はここで過ごしてもいいかな?実家は兄貴が継ぐから家を出たけど、俺やっぱ動物が好きなんだ」
「私としては願ったりですけど!?頂いたは良いですけど、牛の扱い方とかよくわからず…地上に帰るまで時間を止めようと思ってたくらいなんで」
「それはもったいないよ。この子妊娠してるから牛乳もとれるし、雌雄どっちもいるから繁殖も出来るよ。でもそうだね、完全放牧するには面積が足りないからそれは追々増やしていかないとかなあ」
これは、心強い。
ダーツと目を合わせて頷きあう。
きちんと対価を払って、色々と教えてもらおう。本当はリッツさんもうちの方で雇えたらいいんだけど…さすがにドラ殺から引き抜くわけにはいかないからね。
それに…いまの穏やかな笑顔で牛を撫でるリッツさんも好きだけど、戦闘中のリッツさんも格好良くって大好きなんだ。
「頑張って良い牧場と農場を作ろうね、マリィ」
「あ……はい」
農場。農場、牧場…?
庭程度の薬草畑は作るつもりだったんだけれども。
私は一体、何をやってるんだろうとふと真顔になったのは秘密だ。




