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迷宮宿屋~空間魔法駆使して迷宮奥地で宿屋を開きます~  作者: 海華
第五章 怠惰と迷宮と冒険者と
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25

突然のことに呆然とするも、徐々に理解をしていく……つまりリリエラは接客をしたいのだろう。いつも宿で、食堂でするように。


で、でも、相手は兵士さんだし。


「だ、大丈夫かな。相手はたくさんの兵士さんで貴族さんもいるのに」


「……うん。マリィ、落ち着こうか。世間一般的には貴族や兵士の方より冒険者の方が危ないヤツは多いからな?むしろ兵士とか信用度で言ったらかなり高いぞ?」


苦笑いを浮かべたトールさん宥められつつ、扉の向こうのリリエラの様子を必死で探る。

扉の向こうでリリエラは早速接客をしていた。大丈夫?大丈夫?と見ていると笑顔のリリエラがこっちに顔を入れてーーーー



「冷たい紅茶とクッキー。それから上から二番目のサイズのシャツをよろしく」


さっと注文を言って向こうに戻った。だ、大丈夫なのかな!?


「姉ちゃんシスコンは良いから紅茶とシャツ早くー」


「はっ、うんわかった!」


ネロに促されるままに注文品を用意するとネロがさっとそれを向こうに出して、さらにオーダーを持って帰ってきた。


「無地の紙を20枚と、ケーキとタオルだって」


「へあ!?」


紙なんて、ここ数日で私売ったことないけども。

リリエラは一体どんな接客をしているのかとぐるぐる悩みながら、弟たちに急かされるままに私は商品の提供をした。






「やっぱり接客は楽しいわねえ」


その夜、食卓でリリエラは満面の笑みを浮かべていた。

様々な商品が売れた今日の売上は、間違いなくここ数日で一番だ。妹が凄くて悔しいような、誇らしいような、心配なようでフォークを咥えてむくれる。


「もう、心配しないでよ姉さん。私だってギルド職員の一人なんだからね」


穏やかに微笑む妹と、心配で堪らなくて不貞腐れる姉。全く、どちらが姉なのか。自分自身が情けなくって溜息をつく。


認めなくてはいけないようだ。うちの妹はすごいってね!!


「そうだね。リリエラは努力家で頑張り屋さんだものね」


そう言うとリリエラは嬉しそうに笑って頷いた。

喧嘩じゃないけど、仲直りをしてにこにこしていると不意に上から覗きこまれた。誰だろうと上を向くと、そこには立ったアイズさんがじっと見ていた。私の夕食を。


「……食べたいんですか?」


「いや、なんで今日のハンバーグ、お前らの分には目玉焼きがついてないんだ?」


アイズさんに突っ込まれて気付く。

まだ食事中のエレーヌさんやポールさんのハンバーグには確かに目玉焼きが付いていたけれど、私たちの物には付いていなかった。


まあ、当たり前だ。卵の在庫の底が見えてるからねえ。でもそれを知らないアイズさんは不思議に思ったようだ。

別に隠すような事情でもないので、素直に卵不足を教える。


「追加発注を頼んでいるんですが、ちょっと今は卵が不足気味なので節約をしてるんですよ」


「ふーん……ファイアーバードでも捕まえるか?あいつの卵は美味かったよな?」


「気持ちはわかるけどダメよアイズ。テイマーが居ないから魔物はさすがに飼えないわ」


「あー、そうか。じゃあ仕方ねえな。そういう時は俺らにも遠慮しなくていいからな。卵抜きくらいでグダグダ言わねえよ」


テイマー居ても飼いませんよ?

私含め弟妹全員が頭をわしゃわしゃされつつ、エレーヌさんの見事な制止のおかげで宿に物騒なペットが追加されることは回避出来た。

できた、が。


その次の日の夜、寝ずにぶっ通しで19階まで走ってきたアサシンズとアイゼン隊長。


疲れ果ててよろよろになった隊長が私に差し出してきたものは。物騒じゃない動物だった。





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