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でも、気になる話が出た。
「マジックバッグってなんですか?」
「空間魔法のかかったカバンだよ。マリィちゃんと同じようにカバンその物が自分の空間を持ってね、空間に収納出来る優れものって聞くよ」
「カバンに空間魔法…物に魔法がかかってるんですか?」
「ええ。帰還スクロールをご存知ですか?いざって時に迷宮を緊急脱出できる魔法紙ですが…」
「ああ、すっごく高いやつですよね」
ギルマスにとりあえず1ヶ月仕事が出来て正式に採用となったら帰還スクロールを緊急時用に持たせる、と聞いたような…
正直その話よりも1枚20万するという話の方がインパクトが強くて記憶に残ってない。
「ええ。帰還スクロールは転移魔法の使い手が紙に転移魔法を付与した物になります」
「え、迷宮産じゃなくて自分でも作れるんですか!?」
「作れるそうですよ。ですがすごく難しいらしくひと月に数枚しか作れないのであんなに高価になるそうです」
「マリィちゃんが作れるとしたらマジックバッグかなあ。その時は俺の分もよろしくね」
マジックバッグ…欲しいな。
将来的に空間内に住むことになるとして、ふわふわ浮いた水や生肉が見えてるのはちょっと嫌だ。
細かいものはマジックバッグに収納したい。
「物に魔法の付与はどうやるんですか?」
「……それは重要機密に値するので情報開示に情報料がかかるんですよ。だから私も詳細は分かりません」
「でもスクロールを作れる転移師はみんな高レベルの転移魔法スキルって聞くよ?高レベルだから覚えられるのか、高レベルだからお金を稼げるのかはちょっと分からないけどねえ」
くっ、ここでもお金か……でもそうだな。
空間魔法のスキルレベルをあげて、お金を貯めて物質付与を覚えてマジックバッグを作る。
目標が一個増えてやる気に満ち溢れてぐいっとポーションを飲む私は気づかなかった。
マイクさんとムサシさんにマジックバッグ作りを目標にするように誘導されていたことに。
私に気づかれないように二人は黒い笑いを浮かべていた。
「明日は休みだろ?これ、持ってけ」
夕方にいつも通り死体……聞こえが悪いな。素材を持って帰ると、ギルマスにオークの肉と廃棄ポーションを貰った。
「ありがとうございます…?ポーションは嬉しいけど、お肉…?」
「ああ、肉をいっぱい食って大きくなれ」
「……久しぶりのお肉だぁ…!」
「……ちょっとギルマス、お金出すからもう一塊お肉あげてやって」
「そう言えばマリーロズさんは孤児院に住んでるんでしたね。ならそれじゃ足りないでしょう。私からも就職祝いとしてお金を出させてください」
「おーい、オーク肉と兎肉も追加だ」
「え、え、え?」
目を回している間にポンポンと肉を包んだ紙が腕に積まれていき重くて持ちきれないので慌てて空間に仕舞う。
「えっと…良いんですか?」
「大きくなれよ」
「たくさん食べなさい」
「今度美味しいお菓子もあげるよ」
ギルマスとマイクさんとムサシさんに交互に頭を撫でられて、お肉が嬉しくって笑みがこぼれる。
「ありがとうございます!!」
「おう、気をつけて帰れよ」
「はい!!」




