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こっちも不足気味になってきた食材があったが、どうやら向こうも何か足りない資材があったらしく地上に行く人は即座に選ばれた。
「よお、嬢ちゃん。いつもケーキありがとうな」
前にムサシさんと共闘していたアイゼン隊長だった。
冒険者みたいに屈託なく笑って挨拶を受けて、つい私も微笑んで挨拶を返す。
「こちらをギルドマスターガンツさんに渡してください。それからこちらが帰還スクロールになります。手紙にアイゼン様も一緒に連れてくるように頼んでありますが19階に滞在するのは今日を含めてあと五日ですので忙しない移動になると思われます。どうぞ無理はなさらずに」
キリッと説明をするダーツの横でこくこくと一緒に頷いて、彼にレンタルマジックバッグを付与した鞄を渡す。アイゼン様は手紙を受け取り懐に入れて仲間である兵士さんたちに挨拶して百人宿屋から出ていった。
「さて、とりあえず今夜錬金術が使える者の確保は出来た。属性魔法の使い手は今丁度迷宮の方に出払っているので明後日あたり都合がつく。それでいいだろうか」
「はい。ありがとうございます。じゃあお値段はこれくらいで…」
そう言ってダーツが何かを見せると、2人は笑顔で手を握り合った。値段変更があったのなら、私も新値段を見ないとなあ。
新料金表に手を出そうとすると……自宅宿の中からトールさんが苦笑いを浮かべながら出てきた。その後ろに、リリエラを連れて。
「マリィ、ちょっといいか?」
「どうしましたか、トールさんにリリエラ」
こちらに出てこようとするリリエラに許可を与えると、ずずいっと出てきたリリエラが一気に距離を詰めてきた。
驚いて椅子ごと後ろに下がる。
え、ちょ、近い近い。
「姉さん、今売れてるものは殆どがお菓子、飲み物、つまみ、ポーションと結界札よね!?」
「え、う、うん。そうだけどどうしたの?何か問題でもあったの?」
「有りよ。大有りよ。という訳で、店番は私がやるわ」
トントントン!と胸元を指で叩かれて戸惑っているとトールさんに抱き上げられて、そのまま自宅宿の中へと連行された。
自宅宿に入り、販売待機所と化している玄関に設置してある椅子に降ろされて…ハッとする。
「………え!?なにごと!?」
「リリエラも適性を活かして何かやりたいんだと。あの子の適性は話術だろう?売り子がやりたくてやりたくて仕方がなかったらしい。果実水も紅茶も大鍋でいっぱい作った上に時間停止空間の方に在庫もあるそうだから代わってやってくれ」




