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「姉ちゃん!?」
慌てて駆け寄ってきたダーツが、雑貨空間からポーションを取り出してかけてくれたけれど。
「あっ、あああああ!!」
指先の骨が見えるほどの負傷をしていたため、治癒していっているのだろうが痛みで呻く。
痛い、痛い。めちゃくちゃ痛い。
意識が飛びそうだがーーーーその前に彼等を出さないと。私が守った、大切な人を。
「姉ちゃん!姉ちゃんしっかりして!」
はっはっと息をしながら、痛みで気が散りまくりながらーーートールさんたちを取り出す。余裕がなかったせいで三人は私みたいに床に転がってしまった。
「マリィ!? ダーツ、上級ポーションを」
「は、はい!」
即座に私の状況を把握したトールさんはダーツからポーションを受け取ると、右手にかけてから残り半分を口に含んで……呼吸もままならない私に口付けて、口移しで飲ませた。
その瞬間、痛みがじんわりと鈍くなってきた。でも充分痛い。めちゃくちゃ痛い。
「大丈夫だ、マリィ。もう大丈夫だ」
そう言ってトールさんに抱きしめられると、ポロポロと涙がこぼれて……私はふっと意識を失った。
ああ、前も空間から手を出して怒られたのに。
また、怒られちゃうかなあ。
でも、トールさんが無事でよかった。
目が覚めると、そこは自室だった。
いつもの癖で起き上がってから目覚めにMP中級ポーションを飲んで、気づく。
私、怪我をしたんだった。
右手は骨も見えるほど焼けただれていたのが嘘のように治っていた。痛みももうない、けど。爪もちゃんとあるけれど、火球をもろに受けた掌には火傷のケロイドの痕が残っていてグーパーすると少し皮膚がひきつった。
「守れなくて、すまない」
急な声にびっくりすると、ベッドサイドの椅子にトールさんが座ってこちらを見ていた。
そのまわりにはベッドにもたれ掛かる形で床に座った状態で寝る弟妹達が揃っていた。弟妹を見て、トールさんを見て、ふっと笑う。
「私も約束破ってごめんなさい。でもトールさんは守れましたよ」
「確かに助けられたが、あんなのはもう二度と勘弁だ。俺が火の玉浴びる方が断然マシだ」
「浴びないでくださいよ?私、またやりますよ」
「それは勘弁だ。以後気をつける」
「そうしてください。ちょっと離れてくださいね」
トールさんが離れるのを見てから、床の高さを上げる。するとベッドを枕にして寝る形になった弟妹たちに毛布をかけて、トールさんを手招きする。
座ったトールさんの足の間に座り込むと、抱え込むように抱きしめられた。その手を、右手でぎゅっと握る。
「ポーションって凄いですねえ。あんな酷い怪我が治っちゃった」
「……だが、火傷の跡は残った」
「跡くらい良いじゃないですか、ちゃんと5本指で、握れるし動かせるんだから」
「……」
ほらほらと見せつけるように握って開いてを繰り返すと、私の手はトールさんの手に掴まって……口元に持っていかれて、指先にキスをされた。
「それとも、火傷の跡のある女は嫌いですか?」
「まさか。傷だらけでも愛してる」
「そうですか。じゃあ傷物にした責任取ってもらいますかね」
「喜んで」
その日はトールさんに抱かれて、弟妹たちと一緒に眠った。




