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「………」
「悪い、今日はそこに入っといてくれ。嫌がってるのにすまないな」
三度目の正直で、三日目は体調は万全に整えていたけれどトールさんに頼み込まれて渋々と籠の中に入る。
「マリィ、確か結界札をいっぱい持ってたよな?」
「リオが作ったのならありますよ。一時間くらい効果あるやつ」
「そうか、後で代金は払うから今日の移動はそれを使っててくれるか…」
「はい」
小声で言ったトールさんの様子が、おかしい。よく見れば銀華とドラ殺も少し雰囲気がピリついている。
よく分からないけれど、言われるままに頷いてリオが作った結界札を起動した。すると結界は籠を守るように張られて……今日はスカウトのムサシさんが私を背負った。
いつもは後衛のダーンさんかユーリさんなのに。珍しい。
三日目は少し時間がかかっても目的地まで行くつもりらしく、前方に2部隊後方に3部隊が配置に着いた。
「マリィちゃん、今日は気になっても顔出しちゃダメだよ」
「……はい」
ムサシさんはそう言うと、籠の上部を布で覆ってきた。真っ暗闇だと……寝てしまいそうになる。
「ムサシさん、明かりつけてもいいですか?」
「光魔法のランタンならいいよー。火魔法は火傷するかもだからやめてね」
「了解です」
仕方が無いので光のランタンを取り出して、ナイフと芋を空間から取り出して拡張をしながら芋の皮むきを始める。
芋の薄切りの素揚げでも作ったらつまみに最適だろう。
そう思い黙々と皮をむく。
揺れも少なく、安定して剥いていたのだけれど。だんだん、揺れが激しくなってきた。のでさすがに皮むきは危ないからナイフとかをしまって外の様子に聞き耳を立てる。
結界越しでもあるせいか外の声は近くの人以外はあまりよく聞こえない。
だがそれでもはっきりと聞こえてしまった。
ーーー治癒師を呼んでくれ!!後方にも居たはずだ!
ーーーダメだ、そっちも戦闘中だ!
え、怪我人が出てるのか。
「………大丈夫ですか?」
小さな声で籠の中から尋ねれば、籠が大きく揺れた。この籠は動作安定が付与されている。それで揺れるって、相当だ。
「まじで今は顔出さないでねマリィちゃん」
ムサシさんの声が聞こえたかと思えばまた籠が大きく弾んだ。
「おいトール!マリィを一旦避難させろ!!手が足りねえ、お前らも手を貸せ」
そしてアイズさんの怒声が聞こえた。
「壁際に退避!一時的に扉を開く!ユーリ!ムサシ援護をしろ!」
「リッツ!銀華にバフかけろ!」
その瞬間籠が大きく揺れた。両手で壁面に掴まっていないと飛び出してしまいそうなほどの揺れだ。
「マリィちゃん聞こえた?30秒後に出すから兵士と俺たちの宿の両方を出して、マリィちゃんは家の方に転がり込んで貰っていいかな」
「了解です」
そして覚悟を決めて待っていると、30秒ほど経った瞬間バサッと上部の覆いが外された。




