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迷宮宿屋~空間魔法駆使して迷宮奥地で宿屋を開きます~  作者: 海華
第五章 怠惰と迷宮と冒険者と
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ダーツがポーションと丸焼きの値段交渉をドロワ様と進める横で、たくさんの人がお茶や菓子、ツマミや本などを購入して行ったけれど。


結局その日は最後までトールさんが私を膝から下ろすことは無かった。





「もう!なんなんですかトールさん!」


その日の営業も終わり、冒険者と弟妹と食事を摂っている中、向かいに座ったトールさんに文句を言うと、横のネロから真顔でツッコミを入れられた。


「え、姉ちゃんが無駄に可愛さをばらまくから兄ちゃんが牽制しててくれたんだろ?」


「へ!?」


「籠入り少女も可愛いって評判だったし、純粋でかわいーねーって今日組んだヤツらも言ってたよ?トールも大変だなあ」


な、なんだそれは。ムサシさんからも横槍が入って、はわわと慌てる。

う、嘘だよねと思って前のトールさんを改めて見ると……


「政略なのか、とは昨日から色んなやつに探りを入れられてるな。国としても個人としても狙われているのは間違いないな」


ま、マジか。絶賛モテ期で、知らない間にトールさんが牽制をしていてくれたらしい。そう考えると、まあ、悪い気はしない。パンを口に詰めて口をつぐんでいるとなんとも言えない空気が食堂に広がった。


「そういえば、レオは今日は何本くらいポーション出来ましたか?」


「今んとこ70本。リオが付き合ってくれればもっと行けるよー」


「そうですか。じゃあリオはこの後はレオに付き合って量産して頂いても良いですか?」


「良いよー。思った以上に仕込みが忙しくって結界魔法の訓練できないからせめてMP使いたいし。でも、明日はオークキングの丸焼きも作るんだろ?今夜の仕込みは間に合うか?」


「無ー理ー。なんであんなにケーキばっか食べるかなあ、二人も抜けてたらケーキの生産追いつかないよ」


まあ、そりゃそうだろうな。

今回は炊事洗濯が無いからと、雑貨は色々と買い込んであったがケーキは論外だ。

売れるだろうから、と材料は買い込んであったが…一日で120切れも売れるのは大穴すぎる。と言うかほぼ1人1個買っている計算だ…。


「うーん、あ、じゃあシャーベット作れば?ネロのシャーベットすごい美味しいし、ケーキよりはあれ簡単よね?」


「ああ!でもそんなにたくさん果物………買ってたねえ」


「確か500個近く買いましたね」


「でも、俺の魔力足りるかなあ…」


果物を麻袋に入れて絞って、砂糖と水を入れて、ほどほどに凍らせる。

カチコチに凍らせると氷みたいになってしまうので調整が必要だ…だから氷魔法で徐々に凍らせていくのが大事…と思ってるとトールさんが笑ってユーリさんを指さした。


ユーリさんはにっこにこ笑って目を輝かせて明らかに声をかけられるのを待っている感じだった。


「…ユーリさん、魔力を少し貸して貰ってもいいですか?」


「良いよー!その代わりシャーベットは俺たちのデザートにもつけてね」


「じゃあ俺はレオの使う瓶を洗ってやるか」


「あら、アイズが洗い物とか地上に雨が降りそうね。私もケーキが食べたいから手伝うわ」


「…今日はマリィに苦労をかけたからな、オークキングの丸焼きなら男手も欲しいだろう」


「俺も手伝うよ」


手伝うぜーと笑顔で言ってくれるドラ殺と銀華のみんな。嬉しくって込み上げるものを感じつつ…ダーツの指示の元、錬金班、シャーベット班、飲み物班、ケーキ班、丸焼き班に別れてその日はみんなで残業にいそしんだ。




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