14
「じょうちゃん、冷たい飲み物をくれ…!」
「俺も」
「俺もくれえ」
並んでいたの、だが。
汗だくの兵士さんたちは冷たい飲み物を求めていた…………その上半身は、裸で。
弟妹の裸なら、トイレの世話もしたことがあるから全身見たことあるが。
ムキムキの、立派な若い男性の、上半身裸。
子供の頃は兄弟の裸なんか見慣れていたけれど、最近はトールさんのものしか見たことないわけで。
「っ、きゃーーーーー!!」
「え、マリィちゃん!?」
「ちょ、マリィ!?」
売店を開店すること無く、私は自宅宿屋の方に突っ込んだ。
そしてたまたま玄関で弟妹の手伝いをしていてくれたトールさんに突っ込んだ。
「マリィ、何があった?」
トールさんはすぐに抱きしめてくれて、しっかりとしがみつく。
「あー、兵士達が半裸でマリィが逃げ出したんだ。野郎の裸なんかトールで見慣れてんじゃねえのか?いまトレビィが文句言ってるからマリィをあやしといてくれ」
「……半裸?」
見ちゃった、見ちゃった。
記憶を消し去るようにぐりぐりとトールさんの胸に頭を押し付けていると、トールさんがふはっと笑うのを感じた。
ムッとするが頭をぽんぽんされて撫でられる。
「ポール、交代だ。ちょっと皿運ぶの手伝ってやってくれ」
「わかった。悪いなマリィ、意外と純情だったんだな」
トールさんに手を引かれて、渋々扉の方へ一緒に行く。途中すれ違った時にポールさんには一発ぐーぱんちをして百人宿屋の方に出ると……私の悲鳴のせいでカウンター前には隊長さんたちが勢揃いしていた。
「マリーロズ嬢、うちのものがすみませんでした。以後、このようなことが無いよう注意しておきます」
「……お願いします。私もこんなことで悲鳴をあげてごめんなさい」
男性の半裸を見て騒いだことが恥ずかしくて、そっぽを向いて言うとトールさんからぎぎぎっと顔をドロワ様の方を向くように直された。
顔、今絶対赤いから嫌なのに。
真っ赤な顔でむくれてドロワ様を見るとドロワ様も隊長さんたちも何故かハッとして揃って頭を下げてきた。
「それ以上の謝罪はマリィも望まないから不要だ。もし謝罪をしたいと思うなら何かを買ってくれればそれでいい。な?マリィ」
そう言って、何故か私の椅子に座ったトールさんは
にっこりと笑って私を膝の上に乗せた。
「はい!??と、トールさん!!」
え、やめて恥ずかしい。今度は別の意味で真っ赤になるも私の腰をしっかり掴むトールさんの手は離れない。
「……おすすめの品は何でしょうか」
低いドロワ様の声。もう恥ずかしくて顔を両手でおおった私の代わりに楽しそうにダーツが答えた。
「今ならオークキングの丸焼きですね♪在庫はちょうど三体ありますので明日の25階到達祝いにいかがですか?今日から仕込めば明日には間に合いますよ♪」
「分かりました。では、それをお願いします…お値段は…」
目がロイマークになったダーツはノリノリで価格交渉を進め、トールさんは爽やかな笑顔で中のネロに注文をしていた。




