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「おー、なかなか根性あるじゃねえか」
「無駄な体力消費はお勧めできないけど、自分で足りないものがあるなら仕方ないな」
冒険者達も彼らの動きについては物足りないものがあったのだろう。訓練すること自体は肯定的だ。
ーーーーそこに、朝一で迷宮に出ていたが交代で中に入っていた第二部隊のアイゼンさんが現れた。
「マリーロズ嬢、ちょっといいだろうか」
「はい、どうかしましたか?」
「ポーションの類は売っているだろうか」
「ありますよ。体力ですか?魔力ですか?
」
「体力ポーションを大量に欲しいんだ。中級辺りを」
大量に。
うーんと考えて雑貨入れの在庫を見る。
下級と中級ポーションは300本ずつほど入っていた。
「300程はご用意できますけどそれで在庫切れになってしまいますね」
売るのはいいけれど、それで在庫切れになったら目的地で買い足すことが出来なくなる。そう思っていえばアイゼンさんは顔を顰めた。と言うか、王宮側でもポーションを準備してあるはずだが。
「下級の方はどうだ」
「下級は今は300ありますが…あ、ちょっと待ってくださいね」
その場で宿の扉を開く。するとちょうどよくレオが玄関でスタンバイしていた。
「おかえり姉ちゃん、仕事開始?」
「あ、うん。そうなんだけど、レオ今体力の下級ポーションって何本売れる?」
「ん?昨日と今日で50本くらい作ったけど、要るの?なら持ってくるよ」
「お願い。350本ほどならすぐにご用意できますね。こちらはうちの職員に錬金術師がいるので生産は可能です」
「そうか、ならばとりあえずあるだけ頂こう。明日も買わせて頂きたいのだが一日何本くらいなら量産は可能だろうか」
「ちょっと分からないので後で聞いておきますね」
「頼む。訓練で失われた体力をポーションで補おうと思うからな、いくらあっても足りない」
そういったアイゼンさんの言葉に目を丸くするものの、私は何も言わなかった。
「じゃあポーションの準備とか雑貨屋の準備をしますので私は行きますね。1番に用意をしておきますので後で来てください。ちなみに一本2000ロイになります」
「わかった」
アイゼンさんと別れて、みんなと急いで売店のカウンターの中に入る。そして、カウンターの後ろに宿の扉を設置して中に入る。
さっきの今なのに玄関には弟妹がみんなでポーションを運んできてくれていた。
「おかえり姉ちゃん、アイズさんたちも」
「今日もお疲れ様です」
「おう、ただいま」
「じゃあ今日の護衛は……」
護衛の相談をする冒険者のみんなを尻目に、ダーツを手招きで呼んでこしょこしょと密談を始める。
「ねえダーツ、国軍の人ってさ、要はお金稼ぎに来てるのよね?」
「え、まあ身も蓋もない言い方だけどその筈です」
「アイゼン隊長がね、部下の人達が宿の中で訓練して疲れるからって体力ポーションありったけ買ってくれるらしいんだけど…」
「ええ!?うちで買ったら割高ですよ?」
「うん…こちらとしては万々歳だけどさ、良いのかなあ。金はまきあげろってガンツさん言ってたけど…明日とかも作れただけ買うって言ってるし」
「え……そっか。じゃあ、レオ!手伝いは良いから今日は下級ポーション作れるだけ作ってください。材料はある?」
ダーツが慌ててレオに言うのだけれど、本当に慌ててるのだろう。言葉遣いが崩れてきている。
「へ!?あ、あるよ!先月買った薬草もまだあるし、今月買った分もまるっとあるし。あ、でも瓶が足りるかな…」
「じゃあ姉ちゃん瓶は買い取る方向で、あとまとめ買いしてくれてるなら割引しよう。瓶返還で地上では1400だから……1700で売っていいよ。ネロ、レオが抜けたら販売の手は回る?」
「食料庫をここに持ってくるから、リオとリリエラと三人で何とかなると思う。でもレオが抜けるのって丸一日だよね。明日からケーキかクッキーの生産量はちょっと落ちるよ」
「生産量に関してはとりあえず今日の売れ行きを見てから考えよう。じゃあレオは無理のない範囲で作れるだけ錬金、姉ちゃんは売り子でリリエラはもう紅茶淹れといて。リオは洗い物と湯沸かし、ネロはケーキの切り分けよろしく。あ、姉ちゃんここに作ったもの置いとく机とあっちの水場に洗ったものを置く台を作っといて。俺は隊長さんに値引きの話をしてくるから」
「了解」
「りょっ」
「わかったー」
「あいさー」
スタッフの動きの方針を決めるとダーツはすぐに護衛を三人連れて出ていった。
私もすぐに玄関脇と水辺に言われた通り作業台などを設置して護衛と一緒に百人宿屋の方に出ると……そこには既にお客さんが数人並んでいた。




