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「お前らな、周り全員一人寝を強いられてるんだから迷宮で盛るなよ」
「悪い」
「ごめんなさい」
やらかした。二日連続でやらかした。
昨夜とは別の意味で腰痛を感じながら、トールさんと一緒にアイズさんに怒られる。
腰痛が原因なのか分からないが昨夜のアレは全員にバレていて、居た堪れない気持ちを感じつつ反省をする。
と、言うわけで今日も籠の中コースだったのだけれど。
「あ、ちょっと速い」
半分以上を宿の中に残した一団は昨日とは比べ物にならないくらい速いスピードで移動を始めた。と言っても冒険者達だけの方が速いけれど、それはそれこれはこれだ。
そして人数を絞ったことにより、兵士さんたちの戦闘が割と近場で行われて見る機会が出来た。
「兵士さんたちってあまり動かないんですね」
「ん?ああ、そうだねえ。遊撃手も居るけど、基本的に彼らはずっしり構えて戦うね。無駄な動きを減らして体力を温存させていると思うんだけど…敵を迎え撃つ分少し時間がかかるんだよね」
例えば冒険者は敵を見つけると、基本的に一斉に襲いかかる。治癒士や魔法使いも常に動き回って敵の的にならないようにしつつ……他の敵が来ないか常時索敵をしている。
反対に兵士達は突っ込んできた敵を袋叩き戦法のようだ。なので、いつも激しく動きまくっている冒険者に見慣れた私からすると、動かないように見える。
「そもそも彼等は魔物を相手取る場合は森等だからね。迷宮よりも個体数が少ないからああ言う戦法になったんだと思うよ」
「……冒険者の戦い方を見せてもらえないか?」
突如会話に混ざってきたのは、隊長の一人だった。
あ、やばい聞かれてたんだと私を背負っているダーンさんと目を合わせてバツの悪い顔を見せる。
「うちのがなにか失礼をしたか?」
「ああ、いや、違う。戦い方が冒険者と随分と違うと話していたから気になってな。君たちは迷宮での活動に特化しているのだから戦闘方法を見せて貰えたらと思ったんだ」
サッとトールさんが隊長さんとの間に入ってくれた。
私としても侮辱したつもりは無かったが、その気持ちは正確に相手に届いていたようだ。
隊長さんは不機嫌そうな様子もなく、ただ純粋に気になっている顔をしていた。
「俺たちは護衛だから戦闘する訳にはいかないんだ、すまない」
「ああ、まあそうだよな。無茶言って悪かった」
「だが、そうだな…ムサシ、この階層にいる間だけサポをして見せてくれるか?」
「ん?俺?良いぜー」
「第二部隊隊長のアイゼンだ。よろしく頼む」
おおおお。第二部隊とムサシさんの合同戦闘だ。すごく楽しそうでカゴの中で立って観戦体制に入る。
……余談だが深さが1m以上ある籠は立ち上がると縁が私の胸元にあった。
「マリィ、危ないから座ってろ」
「えぇー」
「6階くらいなら良いんじゃねえか。ほら、抱えてやるから来いよ」
「やった」
アイズさんに抱き上げられて片手で抱かれる。しっかり掴まりながら前方の第二部隊の動きを見るも……先行集団にムサシさんは既にいなかった。




