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「な、なるほど……ここまで……」
「俺たちは全速力で深層まで行かねえと時間の戦いで戻れなかったからな。移動スピードが無駄にたけえのは仕方ねえな」
終わった時、ケロッとしている冒険者たちと周回遅れで疲れ果てたドロワ様。
ドロワ様はそれでも力尽きて座り込む他の人達とは違い、立ったまま真摯に悔しそうにアイズさんの言葉を受け止めていた。
「……ちょっと良いか。今日は時間も時間だ、ここで宿泊して明日以降の行動方法を相談した方が良いと思うが」
時間も時間だが…それだけじゃないのだろう。
割とガチで見極めをしたせいで参加した人の半数はグロッキーになっている。トールさんはおそらく彼らを気遣ったのだろう。
ドロワ様は乱暴に汗を拭ってから、頷いた。
「一同、今日はここで宿泊とする。各々休みたまえ。隊長クラスと…冒険者の方々はちょっと屋敷の中の雑談ルームで明日以降について会議をしたいので助言を頂いても良いだろうか?」
ドロワ様がそう言えば
移動の遅さに不満を覚えていたであろう冒険者たちは揃って頷いた。
会議は私も参加したかったけれど、本業の方で雑貨屋を開店しなければならないのでまたムサシさんとポールさんの護衛の元、雑貨屋作業を行うこととなった。
ちなみにダーツも隣で買取をしていたけれど、今日買い取れた素材を見てなんとも言えない顔をしていた。
まあ、予定は10階層で宿泊だったからね。
「嬢ちゃん甘いものはあるかい?」
「はい!ケーキに果実、チョコレートにクッキーなどございますよ」
「……何ケーキがあるんだ」
「チョコレートケーキとショートケーキとチーズケーキがありますよ」
「チョコレートケーキとショートケーキを一切れずつ頼む」
「はい。紅茶もセットに如何ですか?」
「ならそれも頼む」
「かしこまりました。900ロイになります。少々お待ちください」
「ほい」
「とってくるね」
お金を受け取るとダーツが売店の後ろ…に設置した扉を通って、中にケーキを取りに行った。ちなみにオーダーを聞いた段階でレオが厨房に向かって走っているので厨房で今ネロが切り分けて居るのだろう。
本当はネロと私だけでこれをこなす予定だったが、みんなが追加で来てくれて正直、助かった。
「お次の方どうぞ」
「クッキーはいくらだ?」
「このくらいのが1枚で100ロイです」
「そうか、それを5枚と果実水も頼む」
「はい。全部で800ロイになります」
甘味とお茶が、ぼろ儲けなのである。
地上よりも割高設定なのだが、どうやらその割高で王都と同じくらいの価格らしく…兵士の皆さんが躊躇なく買いまくっていく。




