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「参ったな…予定では14時に5階、20時に10階の予定だったのだが…」
そいつはやばいな。と思っていると、深くため息を吐いてから……ドロワ様が冒険者達が休憩しているスペースの方へ来た。
「オルティナ殿、御休憩中申し訳ないのですが少しお時間よろしいですか。出来れば他の方も」
「……なんだ?」
「はい、ご存知の通り我が軍の行軍スピードがとても遅く、このままでは目的の階層に到着出来るのかも危うい状況にあります。何か改善の御指摘は頂けないでしょうか」
意外だと思った。
王国軍が冒険者に教えを乞うなんてイメージ、全くない。
そう感じたのは私だけでないらしく銀華のみんなもドラ殺のみんなも……王国軍の隊長さんたちもドロワ様の行動に目を丸くさせていた。
「……俺たちに聞くのか?」
「はい。迷宮に関しては冒険者である貴方方の方がお詳しいでしょうから。一番良い答えを得られると確信しております」
冒険者たちみんなで目で会話をして、どうするか相談している……と。
アイズさんが立ち上がって、柔軟を始めた。
「俺は馬鹿だから、改善とかわからねえけどよ。ちょっと走ろうぜ。それがお前らの実力も見られて、俺たちの実力も見られんだろ」
アイズさんは面倒見がすごくいい。
素直に頼られたら、応えてくれるすごく良い人だ。
「確かに。そうですな。我らは互いのことを知りませんから。ちょっと走りますか」
「おう。リッツ、ターン、ユーリ、エレーヌお前らも付き合ってくれ。隊長さんよ、こいつらが後衛職で俺らの中では体力が低めのやつだ……が、普段からマリィを抱えて走ってる奴らだ。最低でもこいつらと同じペースで走れたらいつもの俺たちと同じペースで行けるって事だぜ」
「なるほど。おい、お前らもちょっと走るぞ」
アイズさんの言葉で、苦笑しながらも冒険者のみんな……スカウトのムサシさんとポールさん以外が立ち上がった。
どうやら全員が走る気らしい。
それに対応して王国軍も各部隊の隊長さんに加えて、色んな人達が立ち上がった。
「じゃあ行くぞ」
と、アイズさんが言った瞬間にはもう広場を抜けて屋敷の辺りを冒険者の一団が走っていた。
ワンテンポ遅れて王国軍の人も走り出す…が、彼らのスピードはそこそこ早いけれど冒険者よりも明らかに遅かった。
いや正確に言えば少し違う。
冒険者達と距離を縮める人もいれば、保つ人たちも居た………が、ドロワ様や魔法使いっぽい人達は目に見えて遅れだした。
それでも、先程の迷宮の移動スピードよりは早かった。
空間の外周を数周も回れば、追いつく人、保った人、遅れる人はわかりやすく別れた。




