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「まじですか……」
「大マジだ」
体調のコントロール不足。予定があるのだからゆっくり休息を取るべきだったと深く後悔をした。
まさか。楽しい弟達との畑作りが。こんな、こんな……。
「安心しろ、中には天使の毛布と呼ばれる布団を入れてあるしこの籠自体も重量軽減、動作安定の魔法がかけられている魔道具だ。しかも背負えるからな、これならダーンもマリィを運びつつ両手が埋まることの無い優れものだ」
背負いカゴで運ばれることになるなんて…!
ちょっと筋肉痛で二の腕が痛いと言った瞬間ガンツさんが出してきたのは大型の魔物の死体を運ぶ用に使われていたという背負い籠だった。
「マリィならちっせえから入っても窮屈じゃねえだろ」
いや、入れそうだけども。入れそうだけれどもさ!
ダーンさんが背負ったカゴに、トールさんに抱き上げられて強制的に入れられる。
立つと不安定だが座ってる分にはちょうど頭まですっぽり入って良いサイズだった。
膝立ちをすると顔だけカゴからひょいっと出る感じだ。
カゴから無表情でガンツさんを見る。
「お、おお、おおう。ぷぷぷぷ、悪いが予定を狂わせる訳には行かねえし、筋肉痛じゃ掴まってるのもしんどそ…ぷぷぷぷ、」
いっそ笑え。なんていう辱めだ。
ガンツさんの横ではアイズさんが笑いころげている。やっぱ笑えは無しで。めちゃくちゃムカつく。
「か、かご入り娘…ちっせえやつってそういうの入るの好きだよぶふぉ!!」
笑うんじゃない。笑うな。
無表情でピキピキと震えが出てくる。と、カゴが少し揺れた。
「マリィ、出発するから座って念の為に舌を噛まないように黙っててね」
「………はい」
ダーンさんにそう言われるもやはり羞恥心が強く心の底から腹が立つ。自業自得でも腹は立つ。でも自業自得だからちゃんと大人しく籠の中に収まる。
「ぷっ、綺麗に中に納まったぞ!」
やかましい。
あまり揺れを感じない籠の中で大人しくしていると、外からドロワ様の声が聞こえた。
「おや、マリーロズ嬢の姿が見当たりませんが」
「マリィならここだ」
トールさんの声と共に籠を軽く叩く音が聞こえたのでゆっくりと顔を出す。
と、そこには整列をした兵団が揃っていた。
そしてにょきっと顔を出したことにより笑いを必死に堪えて後ろを向いたりする銀華とドラ殺に呪いを飛ばしながらドロワ様に頭を下げるとドロワ様も何とも言えない表情で私を見返していた。
うん、笑わないからまあ許そう。
そして籠の中に収まると外からはドロワ様の声で出立式が行われていた。
「これよりラクーン迷宮の調査を行う。第一、第二は先行して魔物を殲滅しつつ進め。第三から第五は護衛部隊の前方にて魔物の死体を護衛部隊に届けつつ周囲の調査を。第六から第九は体力を温存しつつ進め。第十と第十一は殿を務めよ。5階層までこの陣で向かう、最短距離を歩いていく予定だが地図が分からない部隊は迅速に前後の隊に確認せよ。一同。出発!」
「「「「「了解!」」」」」




