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第五章からは痛いシーンなどが出てきます。
ご了承の閲覧ください。
「成程、つまり宿の方が大きくて飾りっけがないのが気になると…」
「はい。現状白い壁か黒い壁しか作れなくって…」
「実際に建物を見せてもらっても…」
「はい、どうぞ」
言われるままに扉を開いて中にラクザルバ様とエラさんを招き入れる。ついでに弟妹とアサシンズのみなさんも。
弟妹は楽しそうに水場や広場を走り回って、アサシンズの皆さんと商会のお二人と宿を見上げた。
「今までの宿は入口がそのまま玄関に直結してたが、ここは中に家があるんですね」
「成程、これは確かに違和感を覚えますな」
白と黒だけの庭?と家だ。屋内ならば木の棚やカーペットなどもあるので違和感を覚えないが……外観だと非常に違和感がすごい。
「大量の土を地面に敷いてみるのは如何ですか?あと木を植えるなり、プランターで置くなり…」
「木、ですか…でも日光は無いんですよ…」
土は有りだ。今度山にでも突っ込んで掘ってこようと思いつつ、木はなあ。栄養と水だけではどうにかなるのだろうか。
果物とか日光を浴びないと全然美味しく出来ないイメージだが。
「それなら光魔法の陽光ランタンを買われては如何ですか?少々お値段は張りますが長く使えるものですよ」
「陽光ランタン…?」
「ええ。太陽の光を光魔法で集めたものになります。坑道などで普段使われているのですが、陽光ランタンのそばでは草も生えると聞きますよ」
それは……良いなあ。土と木。いや、果樹なんてどうだろう。果物や植物を育てるのも良いかも知れない。虫や鳥害なども気にしなくていい最高の農場だ。
……私の宿屋は一体どんなものを目指しているのだろう。
「そうですね、あそこら辺にこれくらいの間隔で陽光ランタンを置いて、そのまわりに大きな木製の花壇を設置して花や草を植えたり…あとは単純に木目の壁紙を貼ったりしてもいいですね」
木目の壁紙!!!それは良い。非常に良い。
目を輝かせると、エラさんはお辞儀をして部屋から出ていった。
「よろしければデザインも込みで、この宿屋に似合うプランターや植物なども見繕わせていただきますが、如何ですか?」
「お願いします!!」
始めっから専門家に頼むべきであったのだ。
ラクザルバさんとエラさんは果樹を用いた花壇や壁紙など、まさしく理想的な形で宿の外観を即席リフォームしてくれた。お値段はそこそこしたけれど満足の仕上がりだし何よりも家で果物が穫れるって、凄く嬉しい。まだ不足の品があるそうなのだが、それは急ぎで集めるから三日後にまた来てと言われた。
「姉さん、帰りに錬金店に寄って例のポーション引き取らないと」
「あ、うん。寄って帰ろうか。レオもなにか欲しいものある?」
みんなでラクザルバ商会を出る頃にはすっかり夕方になっていた。
でも全員で色々と意見を出し合った宿は、満足のいくものだ。




