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「ね、ねえ、ダーツ宿屋辞めちゃったの?」


「辞めてませんよ」


「今は貴人の接客のための勉強中だって言ってたでしょ」


「兄ちゃん…」


ネロとともにレオとリオと、思いの外動揺しているリリエラを宥めていると……ザルバ様がすっと何かを差し出してきた。


それは綺麗なブローチだった。

宝石がついたそれをどこかで見たことがある……と思ったらそれはエラさんが着けている物と同じブローチだった。


「商談の前に先ずこれを。本来はこれはラクザルバ商会の上位従業員に渡しているものだ。着けている者の身分をうちで保証すると言う証になる」


冒険者ライセンスのようなものだろうか。

冒険者ライセンスはギルドが身の保証をするものでこれはラクザルバ商会で保証するものなのだろう。


「お預かりしているダーツはまだまだ教養などは荒削りだ。だからこれから地上に上がってきた日のうち、二日をうちに行儀見習いに来るという契約でこれを渡す。もちろんうちの従業員になる訳では無いが……うちは各国に支店を持つ大商会だ。これがあればたとえ貴族であったとしても無体な真似はできない」


途中まで意味がわからなかったが、最後の言葉でようやくわかった。

ザルバ様は貴人達を相手取るに当たって、ダーツの後ろ盾になってくれたのだ。

思わず言葉を飲み込んで……深く頭を下げた。


「ありがとうございます」


「頭を上げてくださいマリィ嬢。我らは商人、これは慈善事業ではございません。我等はダーツの後ろ盾を担うことによって、貴方との繋がりを得るのです。ギルドを介さず個人としても、我等を贔屓して下さると嬉しいです」


「分かりました。では素材の引渡しの後でちょっとお願いがあるのですがお時間を頂いてもよろしいですか?」


「もちろん!マリィ嬢の頼みとあれば何日でも空けましょう」


それはさすがに冗談だろうけど、私はザルバ様と笑い合ってから値段交渉をダーツが行い、今月分の素材の引渡しを始めた。


区切りが悪いですが長くなるのでここで章を切り替えさせていただきます

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