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「ダーツ!」


「姉さん。みんなも、心配かけて申し訳ありませんでした」


アサシンズのみんなとラクザルバに行って。

通された部屋で待っているとダーツはエラさんと共に現れたが……整えられた髪。エラさんみたいなしっかりした服に、ピンと伸びた背筋に悪寒が走るような口調。


「だ、だだだだーつ…?」


「え、頭打ったの!?」


「兄ちゃんどうしたの?頭おかしいの?」


「兄ちゃん変なもん食ったのか?俺ポーション作ろうか?」


「いや気持ちはわかるけど……みんな酷くない?」


おそらく貴族に対抗するために身につけたマナーなんだろうが、弟妹の反応が酷すぎて思わず笑った。

エラさんのようにニコニコ笑うダーツの額に手を当てて、服を引っ張って、群がって心底心配する弟妹。

ふざけてるわけで無く、本気で心配しているから文句も言い難い。笑顔のダーツのこめかみがだんだんひくついてきた。


「とりあえず元気そうで良かった。でも、随分と化けたね」


「ええ。療養を終えてからはエラさんのご好意でラクザルバ商会にてマナーの教育を受けさせて頂きましたので」


「泣きながらマナーを教えてくださいと門戸を叩かれた時は何事かと思いましたよ。マリィ様のお役に立ちたくて仕方がないそうです。良い弟君を持ちましたね」


弟妹が群れているダーツを放ってエラさんと話をする。思いがけない暴露に、無茶するんだからと苦笑を浮かべつつも可愛い弟の真心が嬉しくないはずが無い。


私たちの話が聞こえているせいかダーツは顔を真っ赤にして狼狽え出した。

そんないつも通りのダーツの姿に弟妹たちはあからさまに安心する。

頑張ってるのにお兄ちゃん、形無しだなあと笑いがこぼれる。


「あの通りまだまだ未熟ではありますが、本人の熱意もあってか成長具合は目を見張るものがあります。将来的には彼にはうちの商会に入って貰いたいものですが……」


「ダメですよ?ダーツはあげませんよ」


「存じております。そして彼もそれは望んでいらっしゃらないでしょう。ですので少々恩を売らせていただきたいのですが?」


恩?なんだろうと首を傾げているとザルバ様が部屋の中に入ってきた。


「やあ!マリィ嬢。と、今日は御弟妹も一緒なのだな!エラ、ダーツ美味しいお茶を淹れて差し上げろ」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


ザルバ様の指示の元、さっとダーツが茶の準備をしてエラさんが茶を淹れる。

ソファに座りつつそんな仕草を見た弟妹たちはまた軽くパニックに陥った。


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