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渋い顔のまま、ダディオさんは瓶を受け取って……俯いた。
ポタッと地面に何かが落ちるのは見なかったことにしておく。
「赤い瓶の方を飲ませてから青い瓶を飲ませてあげてください。あともう奮発大サービスでこれもあげます。「中に入れ」と念じて触るとこの腕輪の中にものが入って、入れたものを出したいと思えば中身が出てくる腕輪ですよ。せっかくのポーションなのに移動中に瓶が割れたら大変ですから」
そう言って時間停止効果をつけた腕輪型マジックバッグを投げて渡すと後ろから頭を叩かれた。
びっくりして振り向くとムサシさんもユーリさんもダーンさんも拗ねていた。確実に俺も欲しいだろう。
マイクさんとトールさんは完全に呆れていた。
ダディオさんは腕輪を受け取って……ポーションを収納して見ると、その場で泣き崩れた。
『ありがとう、少女よ…君はきっとゴゴウス神が遣わした女神に違いない。戦士ダディオ、君に頂いた慈悲への感謝は生涯忘れない…!』
「え、いやそんな…」
『私は絶対にここに戻ってくる。君に報いるためにたくさんの石や牙を持って戻ってくる。この命を賭けて誓おう』
重い。だいぶ重い。
いや命とかいらないけれど結果的には敵対する可能性が完全に消えたから結果オーライかな…?
「だ、大丈夫ですって。ほら、これ食料です。待ってる人がいるんでしょう?早く帰らないと、ひと月以上経ったら治せないかもしれませんし」
『ああ…ああ…!そうだな感謝する!感謝しかない…!』
ババババとダーツと買い集めた果物とか野菜とか肉とか色んなものを出して照れを隠していると、ダディオさんはそれらを全部回収して何度も頭を下げて去っていった。
後に残ったのは凄まじく大きくえぐれた大地と。
「……マリィちゃんずるーい。俺にもマジックバッグくれよー」
不貞腐れた銀華のメンバーだった。
「で、どうします?これ売却しますかマリィ」
2m近い牙。キラキラした綺麗な石が数個。
牙のサイズから、魔物がどんなサイズなのか察せられてさすがに怖い。
「……売ってもいいんですか」
「構いませんよ。ただ、これだけの上物が売り込まれたとなると……」
「ああ、うん、売らないです。しまっときます」
やばそうな空気を感じて牙はサッとしまう。い、インテリアか何かで使おうかな…。
と思いつつ小石の方を持つ。数センチサイズの小石は見たことも無い輝きを放ってとても綺麗だった。
「こっちはいけますか?」
「こっちは魔法銀ですね。大容量の魔力を貯められるので魔道具でも武具にでも使えます。こちらはまあ極小量ですが流通してますし買い取っても問題ないと思いますが……もう少し細かく砕けば」
「……あ、やっぱ良いです」
こっちもやばそうだったーと思って小石を回収して、隣に居たトールさんに渡した。
受け取ったもののトールさんは意味がわからないらしく首を傾げている。
「これで銀華の装備かなにか作ってください」
と言った瞬間、ムサシさんが吹き出した。
「い、いや、マリィちゃんこれでいくらするのかわかってるのかな!?」
「知りません。聞きません」
「ちょ、ちゃんと聞いて聞いて!」
ムサシさんが両肩を掴んでくるのを無視し、耳を両手で塞いでそのまま逃げ出した。




