16
次の日、起きた時はみんな気まずそうに照れ笑いを浮かべたけれどちゃんと各々仕事に戻って、私は玄関に100人宿屋の空間を開いて改装を行った。
けれど、滞在する冒険者が狩りに出ても帰ってきてもやはりドラ殺とアサシンズは戻らず。
今日はユーリさんとダーンさんに護衛されながら玄関待機をしているとマイクさんは苦笑いで私の頭を撫でてから自室に戻って行った。
「無理だけはしないように。貴女まで倒れたらダーツも悲しみますよ」
「はい、すみません」
その日、一番に私の元に来たのはレオだった。
「はい姉ちゃん夜食!ネロ兄ちゃんから貰ってきたよ」
そう言ってパンで肉を挟んだものを私とユーリさんとダーンさんに配るレオ。
ありがたく受け取るもののさっき夕食を済ませたばかりなのでとりあえず空間に入れておく。
そしてじっと扉の外、迷宮を見ていると……不意に見覚えのない真っ黒の肌の人がひょこっと外から中を覗いてきた。
「……誰ですか?」
許可をしてないからその人は入って来られない。
見覚えの無いその男性はアイズさんよりも筋骨隆々で、鎧などもまとってない。明らかに異常な程の軽装なのに身の丈はある大きな剣を引きずっていた。いやあれ剣じゃない……なにかの牙?
「お前、何者だ」
「ここに何の用だ」
すぐにユーリさんとダーンさんが私の前に出て彼を睨みつける。
すると不思議そうに首を傾げた彼はーーーー
『Ibobbqyyso'a』
低い声で聞き覚えのない言語を呟いた。
分からない。異国の人だろうか。
「公用語は話せないのか?」
『Jdjndkx.,uqio?』
「俺トール呼んでくる」
「頼んだ」
治癒師のダーンさんがトールさんを呼びに行くと、何故かレオも「あ!!」と叫んで宿の奥へと走っていった。
なんだろうと思いつつ褐色の肌の不審者さんを見ると、彼は扉は開いてるのに透明な壁に阻まれて入れないことを不思議そうにしていた。
『Hejdnx,qoo』
「許可を絶対に与えるなよマリィ」
「はい」
と言った瞬間だった。
ぼごおおおおおと凄まじい爆音と共に、扉の外が爆発しユーリさんが杖を構えた。
音はすごいものの、空間の中には何の影響もない。
扉の外の砂煙が収まると、褐色の青年が驚いた様子でこちらを見て、ぺちぺちと見えない壁を叩いていた。
その、背後は大地が大きくえぐれていた。
彼がこれをやったのだ。敵だろうかとゾッとする。




