表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/36

第33話 転移トラップ

 下へと降りる為の道は大抵の場合は奥だ。 

 下層を目指すなら突き当たりから戻るように探索するのが効率的と言われている。

 傾向的に奥が多いってだけで絶対ではない。 その為、手前から調べた方が早かった場合もある。


 だから、この辺は現場判断になるでしょうね。 

 

 「婀唯はどう思う?」


 おいおい、ここで私に投げるのかよ。 まぁ、頼られているって考えると悪い気はしないゼ☆

 

 「まぁ、最下層攻略するつもりで来てる訳じゃないし、このまま手前から順番でいいんじゃない?」

 

 正直、時間を使って適度に疲れた所で帰ろうって提案するつもりだから必要以上に奥へ行きたくない。

 蓑鋤はなるほどと納得したように頷くと近くの分岐へと歩き出した。

 


 蓑鋤は考えていた。 どの程度までやれば丸く収まるのかを。

 元々、ダンジョンへは潜るつもりではいた。 その為、三上の提案は渡りに船といえる。

 防御変換があるので延命は可能ではあったが、使いすぎて戦闘能力が落ちる事は避けなければならない。 欲しいのは他の変換系のスキル。


 先日始末したサソリから奪ったスキルは「産卵」は経験値を消費して自分の分体を生み出すという、現状では使えない代物ではあったが、経験値を変換できるスキルがある以上はステータス変換系のスキルを持っている個体が居てもおかしくはない。

 もしも三上達が使えそうなスキルを持っているのならこいつ等から奪っても良かったが、思考誘導や魅了はあれば便利だが、今の蓑鋤には必要なものではなかった。


 使えるスキルを手に入れる為に最も手っ取り早いのは人間を襲う事だ。

 魔獣に比べると撃破のハードルが低く、開始時点で手に入る初期配布のスキルはユニークなものが多いので、使い方によっては有用な物も多い。 次点で魔獣。

 

 こいつ等も人間と同様に珍しいスキルを保有している可能性が高く、前回手に入れた防御変換も猿から奪った物だ。 人間と違って殺しても後腐れがないと思いがちだが、魔獣は知能もかなり上がっている事もあってやり過ぎると特定される可能性も出て来る。


 人間と同様にあまり気軽に仕掛けられる相手ではない。 

 だからこそ何度も行かずに一回に留めたのだ。 本音を言うなら何度か通って猿からスキルを奪いたかったのだが、想像以上にレベルも高く、統率も取れていた。


 自分だけの問題で済むなら良いのだが、婀唯まで目を付けられるのは非常に不味い。

 そんな理由で婀唯に断らせた上で受けるつもりだったのだが、流石に一緒に行くと言い出したのは想定外だった。 ダンジョンの危険性をかなり強く説いていた事もあって止めておくと言うと思っていたのだ。 


 心配されている事に少しだけ申し訳ないとは思っていたが、来るなら来るでもう一つのタスクである彼女の強化を進められる。 ただ、第一目標であるスキル獲得は二の次にしなければならない。

 それはそれで問題はないが、彼女へのリスクは可能な限り減らしたかった。


 要は程々で切り上げようと考えていたのだ。 問題はどの程度で止めるかだ。

 三上達の手前、最低限の成果は上げて置かないと文句を言い出しかねないので宝箱の一つか二つでも見つけてそこそこのアイテムを売ってやれば満足はしなくても納得はするだろう。


 後は好きにさせればいい。 今回で変な自信を付けて自滅するのもいいし、ダンジョンはまだ早いと慎重になるのも当人達の判断次第だ。 


 ……宝箱二つか、そこそこ優秀なドロップアイテム。 三つ出た時点を撤退ラインといった所か。


 自分の中で線が引けた事に満足した蓑鋤は内心で小さく頷くと早く片付けようと足を早めた――と同時に踏みしめた足が何かを踏んだ。



 「ちょ、蓑鋤!?」


 目の前で蓑鋤が罠を踏んだ。 分岐に入る時、敵襲を警戒して一歩前に出た。

 それが良くなかったのか杖よりも先に足が出てしまった。 結果、罠を踏み抜いたという訳だ。

 ダメージトラップなら生きてさえいれば何とかなる。 状態異常トラップなら毒は何とかなる。


 でも、転移だけはどうにもならない。 

 蓑鋤はしまったと言った様子だったが、瞬く間にその姿が消失した。

 おいおい、この状況を蓑鋤なしで切り抜けろって!? そりゃあんまりだよ。


 「波食さん!?」


 三上達が露骨に動揺を露わにする。 当然だ。

 蓑鋤の戦闘能力を当てにしてここまで来たのに肝心の蓑鋤が消えてしまったら今回の探索プランが根底から崩れ落ちる。 


 ……さーて、どうしようかしらー?


 蓑鋤が居なくなってもっと慌てるかとも思ったけど、思った以上に冷静な自分に驚いた。

 何となく蓑鋤なら大丈夫という謎の安心感があるからだろうか?

 ぶっちゃけると探しに行きたい気持ちはあるけど、下手に潜っても無駄死にするだけだしここは撤退が無難ね。


 「三上さん。 蓑鋤が居なくなった以上、プランを見直す必要があると思いますけど?」

 「……つまりこのまま手ぶらで帰れと?」

 「一番リスクの低い案はそうですね」


 今なら内部構造も変化していないから罠の配置も変わらないはずだし、比較的ではあるけど簡単に戻れる。 個人的には一番のおすすめプランよ。

 ――でも、わざわざ覚悟を決めてここまで来て、頭数を揃えたのに手ぶらで帰るなんて真似はできない、か。


 「流石にそれは承諾できません。 我々は何としても成果を持ち帰らなければならないのです」


 周囲もそうだそうだと同調する。 前川は帰りたそうにしてたけど流れ的に意味ないわね。

 うーん、これは何かしら手に入れないと収まりが付かないか。

 考えて小さく息を吐いた。 やるしかない。


 この連中のレベルはどれだけ高く見積もってもレベル10~15。

 ジョブは戦士が武闘家。 後衛は僧侶か魔法使いって所だろうから後衛の攻撃手段は私と同じ火球か後二つぐらい。 僧侶は回復を使えるだろうからそっちは問題ないわ。


 ただ、三上、前川は戦力外。 

 目的として三上は最低でも全員分の賃金を確保したい。

 他はダンジョンでレベルを上げつつアイテムが欲しい。 私はさっさと帰りたい。


 最適解は私が仕切る事なんだけど、蓑鋤なしでこいつ等が言う事を聞いてくれるかが不安なのよね。

 

 ……やるしかないのかなぁ……。


 「分かりました。 では、探索するに当たって私が指揮を取っても大丈夫ですか?」


 取り敢えずストレートに行こう。 反応を見てから対応を決めればいいか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ