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二周目の彼女と三周目の彼。  作者: kawa.kei


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第29話 ダンジョンへの誘い

 ちょっと悩んだけど腹の探り合いはあんまり得意じゃない。

 さっさとぶっちゃけトークに入ろう。 


 「えーっと、感謝という事でしたら受け取りましたが、他に何か用事があったんではないですか?」

 

 暗に本題に入れと促す。 そうでもなければ私達の居場所を二日で割る訳がない。 

 特定怖すぎぃ。 恐らくは追跡系のスキルか何かで追いかけられたんだろう。

 うーん。 やっぱり大阪城に行くべきだったかしら。 話をしろと促したけど、内容に関しては凡その見当は付いていた。


 二人は顔を見合わせ、意を決したのか三上が口を開いた。

 

 「波食さん。 我々と一緒にダンジョン攻略をして頂けませんか? どうかそのお力を貸していただきたいのです」


 ほら来た。 あの場所に居たって事はこいつ等はダンジョン攻略に一枚噛んでいるのは明らかだ。

 先日の事件で貴重な人員を失った所で都合よく蓑鋤みたいな強いのが出てきたらそりゃ声をかけるに決まってる。 私がこいつ等の立場でもおんなじ事をするって言い切れるわ。


 蓑鋤はなにも言わない。 おいおい、マジで私に投げちゃう感じ??

 まぁ、断るしいいか。 あんまり希望を持たせるのも良くないし、バッサリ行こう。

 

 「折角ですが、お断りします」

 

 即答。 きっぱりとした断りの言葉を口にするけど、子供の使いではないんだ。

 簡単に引き下がるわけがない。 


 「まずは理由をお聞かせいただいても? あのモンスターはレベル50はあったと聞きます。 それを容易く倒す波食さんのお力があれば大抵の状況は切り抜けられるはず。 当然、こちらとしても支援は惜しみません。 ――前回の失敗は単純に人員の戦闘能力不足。 支援体制には問題はなかったと自負しております。 勿論、ご協力いただく以上は相応の見返りはご用意させて頂きますので、どうかご一考いただけませんか?」


 そう言って三上は話だけでも聞いてくださいと続ける。 彼等の会社――元々は工業製品の加工業を行っている事もあって機械操作系のスキルを持った人が多く、それを活かして武器防具の製作を行っていたらしい。 ルール上、武具にもステータスが存在しスキルを介して作成した物は使用者の能力にもよるけど高性能な物が多かった。 


 三上達は装備でステータスを底上げしてダンジョン攻略を行おうと考えたみたい。

 ただ、誤算としてはいくら底上げしても生産系のジョブではガチの戦闘系ジョブに比べて戦闘能力という面では大きく劣るという事ね。 恐らくは序盤はそこそこ勝ててたんでしょう。


 それに気をよくして行ける所まで行こうって感じになってあのサソリを引き当てたって所かな。

 狙いに関しても分かっていた。 こいつ等と同じかは知らないけど私がバイトしていた時点でダンジョンに潜ってアイテムをかき集めている企業は居たからだ。


 こいつ等はその先駆けって感じかね。 

 今の段階では攻略しますと威勢のいい事を言っているけど、半月も調べれば分かるわ。

 こりゃ無理だって。 だからこの手の連中は目的をクリアからアイテム収集にシフトする。

 

 人を潜らせてドロップ品を回収。 それを高値で売るって商売を始めるって訳ね。

 実際、ダンジョン産のアイテムは使える物が多いし、運が良ければ強力な武器も手に入る。

 

 ……まぁ、その過程で何人死ぬかは知らないけど。


 ダンジョンからの生還率は実に安定しない。 浅い階層なら問題ないって思うじゃん?

 罠とかあって変な場所に飛ばされたり、逆に下層のモンスターが現れてえらい事になるなんて話は日常茶飯事だ。 運が良ければ全員無事なんて話もあるけど、逆に運が悪ければどれだけ入念に準備したとしてもあっさり全滅も充分に有り得る。


 私に言わせればダンジョン探索はギャンブルに近い。 

 それも天秤に自分の命をのっけた、ね。 そしてこいつ等は後ろ見ているだけで報酬を出すという割にはその報酬の出所はダンジョンで拾ったアイテムよ。 馬鹿らしくない?


 サポート体制を整えているっていうのは嘘じゃないと思う。 

 アイテムストレージには上限がある以上、頭数を集める必要があるのでこいつ等が荷物持ちや支援要員を斡旋したりとパーティー結成に必要な諸々を引き受けてはくれるんだと思う。 


 でも、命を懸ける、預けるには不安しかない。 

 ダンジョン配信しているストリーマーが実際に遭遇した事件なんだけど、浅い階層で元気に探索していた配信者がよく分からない連中に後ろから刺されて殺されるなんて事件があった。


 アイテムに関しては宝箱などのドロップ品ではない物はストレージに入れる前に横取りしてしまえば奪い取る事は可能だ。

 要はよく分からない連中に背中を預けた結果、刺されるなんて事になったら目も当てられない。

 正直、よく分かんない連中とダンジョンに潜るぐらいなら蓑鋤と二人で行った方がマシとすら思っていた。 


 ――って素直にぶちまけてもいいけど、無暗に敵を作るのはよろしくないしできるだけ穏便に帰ってもらおう。


 「仰る通り、彼は強いと思います。 でも、ダンジョンのモンスター相手にどこまで通用するかは怪しいと思うんですよ。 これがゲームで死んでも復活するって言うんなら話は別ですが、死んだら終わりな以上『強いから、ダンジョンに潜ってみます』って感じで気軽に試すのは怖いです」

 

 死んだら責任取れんのかぁ? あぁ?? 取れる訳ねーだろぉぉん?

 どーせ私や蓑鋤が死んだら残念ですとかまことに遺憾でしたとかお決まり台詞で流すんだろ?

 気軽に他人に命かけろとか言ってんじゃねーよ。

 

 それとも蘇生スキルとかあるんなら話は別だけど、少なくとも前の周回では蘇生のその字もなかったぞ。 もしかしたら高僧の上位スキルか、更に上位職なら使えるようになるのかもしれないけど、現状では現実的じゃない。 


 どうしてもダンジョンに潜りたいなら最低でもレベル50は欲しいわ。

 蓑鋤も戦士の上位職に就けるからフィジカル面では心配ないし、私も40を越えればジョブの選択肢が広がる。 確か、氷結系なら広範囲を凍結させるようなスキルが使えるし、風系は雷出したりとかで相手をスタンさせられるって聞いた事があった。 


 最低限、逃げるのに使えそうなスキルを覚えとかないと話にならない。

 ダンジョンで現地調達っていう手もなくはないけど、暴食の件があるからあんまり節操なく喰わせるのは不味い。 暴走のリスクは付いて回るとはいえ、わざわざ危険な真似をする事はないからだ。


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