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ファーガス城にて

最近になって喫茶店でコーヒー飲んで書くのが一番効率いいことに気づきました←気づくの遅すぎ

 とある日のこと、ここはファーガス城のとある一室での出来事だ。


 「なぁここでいいのか?」

 「大丈夫なはずだよ、ここに設置すれば後問題ないわ」


 それはクラスメイトが召喚された大きな部屋だ。


 「まったく旦那も人使いが荒くて困るな……」


 髭を生やした長い黒髪の男が言う。


 「しょうがないわ、アイアンヴァルキリーにあれだけコケにされたんじゃ機嫌も悪くなるわよ」


 緑色の髪をした女が言う。


 「まぁ魔王様でもアイアンヴァルキリー相手では分が悪いからな~」

 「そうそう、戦姫とは敵対しないようにってのがオルメタでの常識だからね~」

 「だな、まぁ俺達は言われた通り仕事だな~」


 男は魔方陣を描き怪しげな術式を発動する。


 「どれぐらいかかるかしら?」

 「そうだな、一時間はかかるはずだ、集中したいからその間の警備は任せたぞフェアマンナ」

 「わかってるわ、プリメロはそっちをよろしくね」


 フェアマンナと呼ばれた女はその部屋をでる。


 「一時間かかるわ、その間は大丈夫かしら?」

 「ああ、安心しろ。俺も含めて今クラスメイトやその他の重鎮達はタピットさんの騎士団長就任式にでているからな、俺も忘れ物をしたということですぐに戻る」


 この男が二人に接触したのは随分前だ、男の方は最初困惑した感じであったがすぐに本性を現したのだ。


 「俺は欲しい女がいる、だからお互いに目的を果たすとしよう」

 「わかっているわ、その為にこうして密約を交わしたんだからね」


 二人が魔族だと知っても臆することなかった、むしろ自身の目的の為に利用できると判断したのだ。


 「さて俺はもう戻るが何かあるか?」

 「今は特にはないよ、後日またここで」

 「ああ」


 男がその場を去るとフェアマンナはため息をつく。


 「さて、私も仕事ね……」


 この城内での不審な動きは気づかれることなく着実に進んでいた。


 ◇


 あの宴会から二週間が経ったある日の朝、俺はベッドで目を覚ます。


 「ふあぁぁ~」


 大きな欠伸をかきながら横を見ると隣にいる立花はまだ寝ていた。


 「起きろ~」


 立花の顔をつつくと立花は目覚める。


 「うっ……もう朝か……」


 立花も俺同様大きな欠伸をかくと俺に抱きつきキスをする。


 「おはよう周平~」


 立花の裸体が目に入る、まだ記憶が完全じゃないので緊張してしまう。


 「お、おはよ、相変わらず慣れないな……」


 合流してからは立花にも変装させ同じ冒険者で俺の嫁ハンナ・ヒンドスタンとして一緒に指導をすることになったわけだがその日からは寝る時はギャラントプルームに戻って一緒に裸になって寝るということを強いられているのだ。

 俺としてはウハウハな反面緊張の毎日だ。


 「ふふっ、記憶が戻るのを待ってられないから無理やり慣れさす方針に変えたわ」


 俺の顔を見て微笑む。


 「いや~慣れないっすな~」

 「ふふっ、すぐに慣れてもらってもつまらないしすぐにとは言わないわ」


 周囲を虜にする整った顔と完璧なスタイルを間近で見て触れている、立花が傍にいたからか思えば昔から周囲の異性を見て可愛いや美人だななんて思ったことは多々あるが一目惚れをしたことはない。


「とりあえ服着ようか、立花見てると今にも欲情しそうだからさ……城に行かないとだし」

「ふぅん~私に欲情するより城に行く方が大事なのかしら?」


 顔を近づけジトーッとした目でこっちを見つめる。


 「もう朝だしさ~そういうのは夜にだな~」

 「城に行けば月島さんや杉原さんにサラフィナもいるものね~」


 俺を困らせたいのかニヤニヤしながら言ってくる。


 「あ、あいつらはほら違うだろ、俺の嫁は立花だけだしさ~」

 「ふふっ、冗談よ。朝ご飯に遅れたらサラフィナが怒るし行きましょうか」


 準備を済ませ城に移動した。


 「二人ともおはようですわ~」

 「おはよう~」


 俺達が行くとサラフィナもシンは席に座りザインタが料理を運んでいた、昨日みたく遅刻しなかったのでサラフィナの機嫌は損ねていない。


 「友よ、今日は早かったな」

 「ああ、立花に俺の一途な想いが通じてくれたみたいでな~」

 「あら、こないだのダルジナちゃんとの件はまだ解決してないわよ~」


 一週間前の話をまたも蒸し返してきやがった。


 「ダルジナは妹みたいなもんだって言ってるだろ~」

 「ははっ、完璧でスタイル抜群なフォルモサもロリっ子やドジっ子に妹属性は持てないからな~」


 シンが笑いながら言うとザインタがそれに続く。


 「全てを兼ね備えると言うのは難しいものですからね~」

 「ふむ、友は妹や弟といった下の者達への面倒見がいいから特にな」


 立花は複雑な表情を浮かべる。


 「妹属性やロリっ子属性、ドジっ子属性は私には持てない……周平の浮気には特に目を光らせないと」

 「俺そんな趣味ないわ~」


 どこの変態だよ。


 「ふふっ、賑やかで嬉しいことですわ。私が崇拝する二〇柱のメンバーとこうやって同じ席で食を共にする、来ていただき感謝ですわ」

 「ははっ、それはよかった。計画の方も順調だしそっちもうまくやってるみたいだから何よりさ」

 「私達がここを離れた後も定期的にあなたを食事に誘うわ、もう友達だし~」


 立花はすっかり打ち解けサラフィナとはもう友人関係だ、最近では立花がサラフィナに色々教えて俺とシンがクラスメイトを指導するという感じだ。

 彼女がいずれ上に立つ為にクラスメイトを指導しつつ裏で準備を進めている、ただ一つ厄介な問題が俺達の頭を悩ませているが……


 「フィッシャーマンとの縁談どうすっかね~」

 

 その話題を出した途端サラフィナの顔が不機嫌にのものになる。


 「お母様に懇願しましたが駄目でしたわ……」

 「今までと違って他国の指導者の息子だからな、一筋縄ではいかんな……」


 シンはこの手の問題の処理能力はあまり高くない、魔族群の中の悪魔族の頂点に立ち悪魔帝の称号を持つシンだがソロプレイヤーとしての資質が高いのだ。


 「里菜に聞いた話だとそいつ平和主義を謳う草食系男子みたいなのよね~」

 「平和主義とか……これから上に立とうとするサラには似合わないな」


 ただこの縁談を突っぱねると連邦との関係性が悪くなる、現時点ではまだ関係を悪くするわけにはいかない。


 「私はそもそも連邦と繋がる気はありませんわ、奴隷制度とか反対ですし」


 縁談はまだ先だが断るにしてもお互いに会うことを余儀なくされるだろう、そこでどうなるかだな……


 「その坊ちゃんと話していかに向こうから断られるかだよな~でも向こうもこういう縁談である以上は上から圧力は受けているし基本は受け入れる体制だろうな」

 「罵詈雑言を浴びせて引いてくれないかしら?」

 「サラの噂が耳に入っている以上はそれじゃあ引かないでしょうしそれだと流石にあなたの立場も危うくなるからオススメできないわ」


 それが原因で連邦との同盟に亀裂が入ったとなれば強硬手段でサラの立場が危うくなるかもしれないからな。


 「まず会って話をすることだな、俺と立花のどちらかが同行するしその場での判断も重要になってくるな」

 「そうね、今後起こりうる事態も考えて今は縁談を少しでも遅らせる方向で動くしかないわね。幸い向こうもインフィニティシールドや遠征やらの問題で色々ごたついているからね」


 

 ◇



 朝食を終えクラスメイト達との訓練の時間だ。


 「今日は私もいくわ」

 「おう」


 サラは討論すべき王妃の元へ向かったのだ。


 「あなたを嵌めたゴミを育成しているのを考えると本当に気が滅入るわね、しかも河内さんとかいるし」

 「ああ、中学時代のあれは流石に酷かったぞ」

 「だってあなたに色目使うんだもん!」


 河内洋子と俺は中学三年の時同じクラスで最初席が近くてそれなりに親しい仲になりそうだったがそれを見た立花が河内を外し始めた。

 この件については色々あって立花に強く言えなかった訳だが交換条件として俺が河内と深くかかわらないことを条件にクラスから外すというのを解除したのだ。


 「その件はお互いに悪かったってことでもう終結してるし蒸し返すのはなしな……結果的に河内には悪いことをしちまったし」


 当時の生徒会は六人、会長の立花と副会長の俺に書記の宮本と残り三人いたが河内は宮本やその三人との関係があまり良くなかったことも問題だったのだ。


 「ええ、それに関しては私も大人気なかったと自覚しているし周平には悪いことをしたと思っているわ……ごめんなさい」


 今となってはその三人はこっちの世界ににいないしもう蒸し返す必要はない、河内は高校になっても俺に告白をしてきたが俺はそれをただ冷たく断ることしか出来なかった……昔のこともあるし崖から落ちる時あいつが俺を見て笑っていたとして俺がそれを見たとしても俺はあいつに何かする権利はないだろう。


 「まぁ色々複雑だったし俺の方もお前の気持ちを考えずに悪かったよ……」


 体操着の事件にしろ迷宮で嵌められたことにしろ河内が絡んでいることは間違いないだろう、だからあまり触れたくないし興味を持たないようにしたいのが本音だ。


 「ただ……あの時もっと違うやり方があったのかもしれないな……」



 ◇



 三人でクラスメイトの指導をする、立花は女子でシンが男子で俺は両方を見て回る感じだ。


 「気配探知の異能をフルに使えば遠くの敵の存在に気付き先に攻撃することができる。ただお前の攻撃は豪快さが残る、もっとセンシティブな攻撃を心掛けるんだ」


 杉原はせっかく与えられた異能を上手くいかせていない、能力は高いし物理にしろ魔法にしろどっちにも高いセンスがあるから今はそれでもいいがもっと上のステージに入った時に強みがなくなってしまう。


 「なかなか難しいんですよね~集中すればそれもできるんだけどそれだと攻撃速度が落ちるし……」

 「集中力をもっと高める訓練をしたほうがいいな」


 俺は魔法障壁を心臓部にのみ張る。


 「今から一対一だ、手加減するからここに攻撃して障壁を破壊するんだ」

 「わかりました、シャーガーさんは武器使われますか?」

 「素手で行くよ、攻撃を当てるごとに動きを早くしていくからな。無事破壊出来たらビアーのジュースでも奢るさ」


 それを聞いた杉原は闘志を燃やす。


 「ふふっ、その約束絶対守ってもらいますからね~」


 杉原は顔をニヤつかせながら戦闘態勢に入る、ビアーの力が凄いことを改めて実感させられる。


 同時期立花は雪と一対一をしていた。


 「月島さんは魔法の早打ちに集中力は申し分ないしスピードもあるけど体力が足らないわね、戦場では長期戦になることも多いからそこが一番の課題ね」

 「はい!」


 この子の才能は中々ね、将来いい魔導士になれる。

 

 「体力を上げるのは今後の課題にしてもまずは無駄のない動きをすることが大事よ」


 この子の異能は猫になればスピードがアップし人ではできない動きができるようにな、だから異能の練度をもっと高めて体に動きを覚えさせれば人の状態でもその動きの一部を再現できるようになる。


 「あまり異能を使いたくない感じかしら?」

 「はい、少し恥ずかしいので」


 月島さんは恥ずかしそうに言う。


 「目的を果たす為に少しでも力をつけるならその気持ちは捨てなさい!」

 「はい、頑張ります!」


 この子を殺さすわけにはいかないというのもあるけどこの子なら七魔女セブンウィッチの一角を襲名できるかもしれない。

 不思議とその才能をもっと見てみたいという衝動に駆られたのだ。


日曜に書いてアップができるか未定なので今週までになんとかもう一話アップしたい。

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