11.貴方と共に
「ふふふ」
「旭、ニヤニヤするのやめて」
「だってさ、唯華ちゃんが可愛くてエロくて、もう幸せ。好きっ!」
「旭、昔と違いすぎない……?」
初めて見る唯華ちゃんの身体はそれはもう綺麗で、引き締まってない、なんて言っていたけどむしろエロい体つきというか……
初めて見る表情も、初めて聞く声も全部最高だった。声を出さないように我慢するところもまた……あ、やばい。思い出したらやばい。
「ふふふ」
「はぁ……服着たいからどいて?」
「もうちょっとだけ」
唯華ちゃんの身体を拭いたあと、服を着るのを待ってもらって抱きしめていたんだけど、それがまた至福の時間。
唯華ちゃんは落ち着かないみたいだけど、もうちょっとだけこのままでいてほしい。
「変態……」
「そんなこと言って、そんな変態が好きなんでしょ? さっきあんなに気持ちよさそうに……いてっ」
小突かれた頭を撫でながら唯華ちゃんを見れば、真っ赤な顔でこっちを睨んでいる。ねぇ、そんな可愛い顔してるともう1回襲うよ?
「ねぇ唯華ちゃんもう1回……」
「むり! 絶対むり! 明日動けなくなる」
「お休みだし、私が梨華と悠真のお世話するから、ね?」
「どれだけ体力あるの……」
向こうでは休みの日にジムに通ったり、走ったりしてたからそれなりに、ね。
「1回だけ、お願い」
じいっと見つめてみれば恥ずかしそうに目を逸らされた。その顔可愛すぎなんですけど誘ってますか?
「唯華ちゃん、だめ??」
「……1回だけね??」
かわいいいい!! 1回だけ、無理かもしれない。
「唯華ちゃん、向こうのお布団で寝よ?」
「無理。動けないもん。もう眠い」
「あぁ、かわいぃぃぃ」
「旭のバカ、アホ、変態」
「それ全部悪口……」
「1回って言った」
「ごめんなさい」
1回、ってお願いしたけどもっと見ていたくて、唯華ちゃんもなんだかんだ受け入れてくれたからちょっと調子に乗りました。
はい。私が悪いです。
「唯華ちゃん、首に手回して?」
「ん」
「かわい」
素直に甘えてくれる唯華ちゃんが可愛すぎて……歳上だよね? なんでこんなに可愛いの? こんなに甘えん坊なのに、今までどうやって隠してたの?
寝室に入れば、唯華ちゃんの寝るスペースに梨華と悠真がくっついて寝ていた。
「なにあれ可愛い」
「いつもこんな感じだよ」
「本当に可愛いなぁ。一旦ここにいてね」
唯華ちゃんを私が寝ることになっている端に降ろして、梨華と悠真をそれぞれの場所に移動させて唯華ちゃんの元に戻れば、梨華が寝返りをしてまた戻っていて、唯華ちゃんと一緒に笑った。あぁ、幸せだなぁ。
疲れさせちゃったからか、話しているうちに唯華ちゃんの反応が鈍くなってきて、もう目が閉じかけてる。急いで移動してもらわないと……
「唯華ちゃん、こっち来られる?」
「んー」
「梨華抱っこしておくから」
「うん」
立ち上がって移動するのかな、と思ったけど転がることを選んだらしい。可愛すぎ。
「布団かけるよー」
「うん」
「唯華ちゃん、おやすみ」
おでこに口付けをして、梨華の隣に座って3人を眺める。ここに3人も天使がいる。いつまでも眺めていられるよ。
「唯華ちゃん、ありがとう」
「んぅ?」
寝てるだろうけどどうしても言いたくて声に出せば、まだ起きてたみたいで反応が返ってきた。
「この空間に居られて幸せ」
「ん……ずっとそばにいて……」
「……っ、もちろん!!」
はぁ……好き。
ずっと大切にするからね。
寝ちゃうのが勿体なくて、3人の寝顔をしばらく眺めていたけれど、明日は2人の面倒を見ると約束したしそろそろ寝ないとな、と目を閉じた。
「ん……」
「唯華ちゃん起きたの?」
目が覚めてからも、飽きもせずに3人を眺めていたら唯華ちゃんが目を覚ましたみたい。
「うん……なんか色々なところいたい……」
「あぁ、ごめんね。起きられる?」
「うん」
まだ眠そうに目を擦って、身体を起こした唯華ちゃんが可愛くて、でも顔を顰める様子に申し訳なさもあって。
「旭、それどんな表情?」
「え? 私の彼女可愛い、すき! ってのとごめんなさいって気持ち?」
「ふふ、なにそれ? 今日は2人のお世話よろしくね?」
「喜んで!! なんなら唯華ちゃんのお世話も……」
「間に合ってます」
「えー」
付きっきりでお世話しますけど? ご飯食べさせたり、お風呂とかも……やば……泡まみれの唯華ちゃん想像したらエロ……
「旭、変なこと考えてない?」
「変なこと? 例えば?」
「……なんでもない」
ちょっと顔を赤くする唯華ちゃん、かっわっ!! 何想像したんだろ?
「何想像したのー?」
「言わない」
「想像した事全部やってあげるから」
「いい! いい! 先にリビング行くね!」
「待って。おはよう」
「……おはよ」
通り過ぎようとする唯華ちゃんの手を掴んで、触れるだけのキスをすれば、昨日もっと凄いことをしたのに顔を赤くする唯華ちゃんが可愛い。昔は逆だったのに、成長したなぁ、私。偉いぞ、私。
「ご飯できたけど、梨華と悠真起こす? もう少し寝せる?」
「うーん、まだいいかな」
「了解ー。唯華ちゃん、コーヒー飲む?」
「飲みたい!」
ソファに座ってテレビを見ていた唯華ちゃんに声をかければ、振り返って笑顔を見せてくれた。
昨日はそこでキスを……っと、考えないようにしよ。
「はい、コーヒー」
「ありがと!」
「天気もいいし、公園連れていこうと思うけど、唯華ちゃんはどうする? 寝とく?」
「ううん。私も行く」
「それなら車で行こうか。少し離れてるんだけど、この辺なんてどう?」
前に調べておいた公園をいくつか見せれば、あれ、泣きそう? え? なんで??
「うぇ!? 唯華ちゃん、え、どっか痛い? コーヒー熱かった??」
「ううん。調べてくれてありがとう」
「最近さ、レジャー特集とかやってるとつい見ちゃったり、観光ガイド買ってみたり、楽しくてさ。沢山行きたいところがあるから、付き合ってね?」
「うん」
「唯華ちゃん、好きだよ」
「私も好き」
うるうるした目で見上げてくる唯華ちゃんが可愛くて、吸い寄せられるように唇を重ねた。
「んっ……は……ぁ……」
「唯華ちゃん、声エロ……昨日思い出すなぁ……でも2人が起きちゃうから、抑えて?」
「誰のせい……っ」
睨まれたけど全然怖くないし、むしろ唆る。これ以上は止められなくなるからしないけど。
「意地悪してごめんね? 唯華ちゃんが可愛いからだよ?」
「昔の可愛かった旭戻ってきて……」
「変わるには充分すぎる時間が経ったからね」
「なんか悔しい」
拗ねる唯華ちゃんを抱き締めれば、お腹に頭をグリグリ擦り付けて来てただただ可愛い。
「唯華ちゃん、昔も今も、愛してるよ」
「……っ」
「あぁ、泣かないで? 梨華と悠真が心配するよ? 落ち着いたら起こしに行こ?」
「うん」
もうあの時みたいに気持ちを伝えられずに不安にさせたくないから。
こうやってまた私を選んでくれたから、不安になんてならないくらい気持ちを伝えていくからね。
この先もずっと、貴方と共に居られますように。
予定より1話オーバーしてしまいましたが、最後までお付き合い下さりありがとうございました。ブックマーク、評価、ご意見ご感想等、頂けたら嬉しいです。是非よろしくお願い致します。




