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05 母

春にはまだ遠い

日差しだけが温かい道を行く


赤ん坊の僕を 抱いている母の写真

僕はそのあと 離れ離れになって

23年間 一度も母と会っていない


今年大学を出て 介護士になる

趣味でバンドをやっているよ

寂しい思いをしたことはあったけど

僕は僕で 人並みに生きてきたんだよ


伝えたいのは言葉じゃないと思う

母は僕を捨てたことを ずっと引きずっていたろうか

それなら母が可哀そう

けれどそうだったなら

そのことが 僕と母とを結ぶ絆だった


坂の途中の一軒家

白いミニバンが 駐車場にとまっている

外からでも そこに幸せな家庭の営みが見える


何かご用ですか

家のインターホンの前に佇む僕に

庭先に出ていた女の人が 声をかけてきた

僕は 母を訪ねてきたと言い

やがてその女性は言った


私です

あぁ、僕のお母さんだ

大きくなったんだね

お母さんは 僕を忘れていなかった


一目でいいから会ってみたかったんです

うん うん

頷く母 鼻をすする


僕を産んでくれた

産まない事もできたろうに

僕は 母の愛情を受けて産まれてきた


苦労をさせたね

ごめんね

お母さんも大変だったね

急に来てごめんね


ごめんね 本当に

お母さんのせいじゃないよ

首を振る母


ありがとう神様

僕はやっと 一人でも歩いてゆける

会わせてくれてありがとう


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