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26 灰色の列
まだ着慣れないスーツを着て
ホームの列の一番後ろに並ぶ
いつか僕も この光景と人込みと
朝の早起きに慣れてゆくのだろうか
ぎゅうぎゅう詰めの電車の中は
僕と同じようなスーツを着た
年配が多い
顔をしかめたくなる匂いが充満している
吊革に手をかけて 目を閉じて
半分眠ろうとしている人もいる
今日若い奴を泣かしてやったよ
最近のやつは怒られ慣れてないからな
うちの若いのもそうだよ
頼りない奴ばっかりだよ
飲み屋に行けば
そんな話をしているかもしれない
電車が止まる
扉が開くと 僕たちは吐き出される
階段を上る人の流れは
一糸乱れぬ濁流のようだ
立ち止まっていると
突き飛ばされる
何かを抱えたまま
何も言わずに歩きなおす
何に向かって歩いているのだろう
この流れの色はわかるけれど
流れの先に何があるのか
僕にはわからない
わからない




