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16 這い寄る
いつの間にか傍に寄ってくる
知らぬ間に 寄ってくる
影のような色を していて
這いつくばるように やってくる
振り向いてもそいつはもういない
匂いさえ 残さない
重油のような 体をしていそう
影の中に隠れる
何かの怨念なのか
憎悪の化身か
増えてゆく視線
見えないあたりから
こっちを見ている
隙間から 覗いている
足元にすり寄ってくる
まとわりつく気配 感じる
下を見るともういない
裾が汚れている
暗くなると すぐ近くにやってくる
手足が 引っ張られる
目を凝らしても 暗闇の中
首が絞めつけられる
足首のあたりから徐々に上ってくる
太腿の上をなぞる
首が動かない
いつの間にか 呼吸を忘れる
目の前に現れる




