後片付け
挿絵に関してですが、評判が悪かったので登場人物紹介の際に、まとめて載せようと思います。
盗賊を全滅させた俺は、レイを人型に戻す。
「さっきのは……美味」
この言葉を聞くに、美味しかったのはゲスカだけで、他の盗賊たちはさほど美味しくなかった。という事になるんだろうが………手についた血を舐めている少女―――――シュール過ぎだろ!
と、ジンヤが内心思っていると、レイが不思議そうに頭をかしげて、自分の手と俺の口元を交互に見る。
もしかして何か気になる事でもあったのか?……ん?だったら、何で俺の口元を見たんだ?
「…………何故だ。今、猛烈に嫌な予感が」
もしかして、さっきの嫌な予感がレイにも――――――
「……ご主人様も舐める?」
「舐めねえよ!!」
可笑しいだろ!それに、高校生が中学生位の女の子相手にそんなことしたら、色々と問題になるわ!!
「……美味しいのに」
グッ!
レイが上目遣いでこちらを見てきた。
「そんな目をしても俺は舐めないからな……」
多分。
「そんな事より、いい加減この空間を維持するのも面倒だから糧にしたい奴が居たら今のうちに取っとけよ。そうしたら俺が『オリジナル神聖魔法』【広域清掃】を使うからな」
「……分かった」
あーー、と言ってもレイが食べてるのは、さっきのゲスカの死体――――血だし、ほとんど問題ないんだが、念のために言っておく。
それから3分ほど経つと―――――――
レイはゲスカを持っていた手を大きく振りかぶり、ポイッという音が付きそうな感じで投げ捨てた。
「……もう良い。飽きた」
「早っ!?」
絶対レイの奴、ほとんどおやつ感覚で人の血飲んでただろ。………あれ?俺大丈夫だよね。いきなり『飽きた』とか言われて、契約解除されたりしないよね?
俺はレイの方をじーっと見る。
「はうっ、ど、どうしたのご主人様?」
良く分からないが『はうっ』って、どうしてそんな声出したんだ?
今までの流れでそんなに変な事なんかあったか?
「いや、別に何でもない。気にするな」
「ん……」
まあ、良いか。どうしても気になったら、後で部屋に戻ってから聞けば良いしな。
「よし、レイ。少し離れていろ。魔法を使うから、幾らお前でも危ないかもしれない」
レイのスキルから見て、暗黒系に適性があるとみて間違いないからな。そんな例が自分の弱点属性である『神聖属性』―――――――しかも俺みたいな可笑しなステータスを持った奴が魔法を放ったら、どうなるか想像もつかない。
「分かった」
レイが『暗黒空間』の展開範囲ギリギリのところに移動する。
「『オリジナル神聖魔法』【広域清掃】!!」
魔法が発動した瞬間、巨大な魔法陣が広がり、その魔法陣が俺たちが殺した盗賊の死体を飲み込んでいく。本来この魔法は『聖魔法』【広域結界】が元になっていたのだが、俺がアレンジしてそれに『生活魔法』【清掃】の効果を合わせたのだ。
結果、1分も掛からない内に『暗黒空間』内は盗賊を殺す前の状態に逆戻りした。
「よし、もう近くに寄って来ても大丈夫だぞレイ」
「流石ご主人様……。私もあんな風に自由に魔法、使いたい……」
俺のように魔法を使うか……レイのステータスがあれば、完全に俺の様には使えなくても、近いところまでいける気がするんだが……。
「『神聖魔法』を使うことは出来ないが、逆にレイには『暗黒神魔法』の適性があったりするから、それを使えるようになればいいと思うぞ?」
そう提案したが、何故かレイは逆に俯いてしまった。
「……魔法の使い方、分からない……」
「ああ、そうか。だったら俺があとで教えてやるから、魔法の使い方勉強しような?」
俺がそういうと、レイは俯かせていた顔をあげて飛び切りの笑顔を見せた。
「………」
ちなみにドキッとしたのは、秘密だ。




