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盗賊虐殺2

「『暗黒空間』……この場には、女の子も居るようなので、周りから見えないようにしましょうね」

「なっ!?」

「クソッ!何なんだこれは!?」


盗賊たちの間に、動揺が走る。突如として、自分たちの視界が奪われてしまったのだから、これも仕方のない反応と言えるだろう。


「な、何だ?中の様子が全く分からないぞ?」

「……一体、どうなってるんだ?」


対して、ギルドの連中の反応は盗賊たちと違う。

まるで、自分たちに害が無い(・・・・・・・・・)ように。


「はい、はい。静かにしましょーね。盗賊の皆さんは、始めますよ」


盗賊たちとギルドの連中の反応に差があるのは、俺が使った魔法の効果だ。

暗黒空間―――――指定された範囲に、自分の空間を球体上に作り出し、その中を暗闇に落とす。

効果は、たったこれだけのとても単純な魔法だ。

だが、この状況においては絶大な効果を示す。


今回、俺が邪魔だと思ったのは『ギルドからの目』と『ギルド員が人質にされる事』だ。この2点を効率よくクリアする方法が、相手から視界を奪う事だった。


ちなみにこの魔法、『最上級魔法』の1つで、普通ならば『宮廷魔法師』10人で行い、発動までに3日間の時間を有する魔法なのだが、まだこの世界についての知識が充実していないジンヤが知るわけなかった。


「来い!『レイ』」

俺は、ムラクモ―――――レイの名を呼ぶ。

流石に時間が掛かり過ぎると、この魔法自体が無効化される可能性もあるので、手っ取り早く武器を使う事にしたのだ


「ん、分かった」

その声と同時に、俺の手に温かい剣の柄が触れる。間違いなく、レイが剣の状態に戻った。


俺は剣の状態になったレイを手にして、盗賊の一人に近づいた。

「ほれ、一人目だ!」

「ぎゃーーぁ!!?」

両腕から血しぶきが上がる盗賊。


「二人目!」

「グヘッ!」

レイで、床に叩きつけられる盗賊。


「3人目っと!!」

「ブフッ!」

レイで、腹を貫かれる盗賊。


「……4人目」

「………」

レイで首を刺され、一瞬で絶命する盗賊。

一瞬の間に、盗賊たちは、残り1人という人数に俺に斬られて減った。


もう少し時間が掛かる思ったんだが、意外に直ぐに終わったな。まあ、『ゲスカ』って奴が居るし、まだ楽しめるからいいか。


「お前は一体、何者なんだ?」

「俺ですか?俺は……通りすがりのただの旅人ですよ」

「そんなの誰が信じると思う……」

まあ、そりゃあそうか。俺自身、この嘘で隠しきれるなんて全く思ってないし。


「別に信じられなくても良いですよ。どうせ、暗黒空間の中に居る連中は抹殺して隠蔽するんで、外にはバレませんしね」

要は、外にこの中の情報が漏れなければ良いんだしな。


「そうか……」

ふーん。意外と、根は良い奴なのかな?

でも――――――


ちょっと今の俺は機嫌が悪いんだ。

「それじゃあ、さようなら盗賊さん」




ゲスカは最後に嫌な笑みをしてから、死んだ。


案外、良い奴かと思ったが、これはちょっと気を付けておくかな。

……嫌な予感もするし。

……途中、どっちが悪か分からなくなりそうでした……。

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