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動揺と命名 ※

濃密な数時間を終わらせるために、少し文章を長くしました。

レイのイラストを追加しました。

「それで君は結局、俺の作った『ムラクモ』という認識で良いのか?」

いい加減、事実を認めなければならないので、改めて確認する。

「ん、その認識で間違ってない」

彼女は俺の質問に非常に冷静な声で答えた。


それにしても、このまま全裸のままで居られても困る………多分。

兎に角!だから服を着てもらおう。……確か迷宮の際に手に入れた女物の服を、万が一のためにと思い(一体、どんな時に使うと思ったんでしょうね?)『無限収納』の中に入れて置いたはずなんだが……あった!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【天之羽衣・一式(女性専用)】

rate:SS+

天から降ってきたと言われる伝説のアイテム。既に下着から羽衣まで、全てが揃っている。だが、男性は着ることが出来ず、女性専用の装備となっている。

着たものには、天の加護を授かることもできる。

装備効果:天の加護付与 状態異常無効化 DEF増加(極大) AGI増加(大)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何気にこれも結構なチートアイテムだよな。まあ、俺は男だからこれを装備することは出来ないんだし、『ムラクモ』にあげるか。


俺は、出したアイテムを彼女に向かって投げた。

「はいっと。これを挙げるから着なさい」

「ん、ご主人様の言う事なら仕方ない……着る」


そして彼女はそのまま、足を曲げて着ようと―――――――

「ちょっと待って!!」

「ん、どうしたのご主人様?」

彼女は人前で着替えるのがさも当然のようにしているが、見ているこっちからしたら、勘弁してほしい限りだ。


「直ぐに出て行くから、終わったら声かけてくれ!」

バタンッ!

俺は後ろを決して振り向かず、急いでドアを閉めて部屋を出て行った。



クソッ!

俺は何でこんなに緊張してるんだ!?別に彼女は、少し前に俺が作った『ムラクモ』だぞ。緊張する要因なんてほとんど無いじゃないか!なのに何で、俺の心臓はこんなにも鼓動が早くなってるんだよ!もしあったとしても、裸を見てしまった事だけじゃないか。


……裸を見たくらい……か。

そういえば『ムラクモ』の雰囲気、どうもアイツに似て感じてしまうな。

「はぁーー」


◆  ◆  ◆  ◆


「ご主人様、終わった」

部屋を出てから数分後、俺は彼女に着替えが終わったことを告げられる。

地球に居たころでも彼女なんていなかったし、当然デートもしたことが無いからこの時間が、遅いか早いかは、分からないけどな。


俺はドアノブを回して部屋に入った。

そこに居たのは先程までとは、見違えるように変わった少女の姿だった。

髪は桃色で、体形はすらっとしていて、その上、顔は非常に整っている。地球で言う所の美少女の部類に入る子だ。


「ご主人様。似合ってる?」

っ!?

あまりにも似合い過ぎていて、つい見惚れてしまっていた。ただ、この動揺を察知されて嫌われても困る(・・・・・・・)ので、俺はあくまでも表面上は冷静さを保った。


「……やっぱり、似合わない?」

何が原因なのかは、分からなかったけど、彼女のテンションが急激に下がったような気がしたので、何とか冷静を保っているように言う。

「似合ってるから、大丈夫だよ。レイ」

「レイ?」

どうやら、誰の事だかわかっていないようだ。仕方ない、説明してやるか。

「お前の事だよ。いつまでも名前が無いと不便だろ」

「……レイ…レイ――――」


『ワールドスレイヤー』の『レイ』と言う部分からとった単純な名前だが、どうやら意外にも気にいってくれたようだ。

彼女は、何度も『レイ』と言う言葉を呟き時々、顔をほのかに赤く染めている。

そこまで気にいってくれると、こっちも嬉しくなるな。


「ご主人様は、照れ屋」

「なっ!?……俺は照れ屋なんかじゃないぞーー!!」

それからしばらく遊んだあと、俺は床でレイは遠慮していたが、ベッドで寝させた。



こうして、この町に来てからの俺の濃密な数時間は、終わりを告げたのだった。



レイ

挿絵(By みてみん)

次回は『閑話』が1話だけ入ります。ミリアちゃん再登場です。

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