ギルドに入れない
「先程は、取り乱して本当に申し訳ありませんでした!!」
「あ、ああ!分かったから、まず姿勢を元に戻してくれ!!」
ミリアとしては、受付嬢としての業務を一時とは言え忘れていたので、本心で誤っている。
―――――ゴスロリの服の状態で……。
つまりそれは、まだ幼い彼女の胸元が見えてしまうだけで……いや、俺としては非常に眼福なんだが。
「あらあら。お兄さんもまだやっぱり若いねー」
「ふざけてないでこの状況を何とかして下さい」
「えー!せっかく良い所なんだけど……」
絶対この人Sだろ!今の状態でもマズいのに、喜んで更に状況を悪化させようとしてやがる!!
絶対に後で仕返しをしてたがるからな!
……そんな小物のような発言は兎も角、このままでは本当に埒が明かないので、仕方なくミリアに状況を説明してやる。
すると彼女は、顔が沸騰したように真っ赤になり―――――
「きゃーーーーーーぁぁぁ!!!!」
「あっ、ちょっと―――――――」
受付の控室らしきところに走って行ってしまった。
えーーっと。俺まだ、冒険者登録し終わってないんだが……。
更に面倒なのは、先程のミリアの悲鳴を他の冒険者たちが聞いてしまった事だった。
「おい、アイツ一体何をしたんだ?」
「分からねえ、でも俺らのミリアちゃんが悲鳴を上げてたぞ!」
「私たちのあの優しいミリアちゃんが……悲鳴?」
「よしアイツ……」
「ええあの人……」
「「ぶっ飛ばす(よ)!!」」
ああ、絶対これはマズいパターンだ。
おいおい、何だかとんでもない誤解を生んでないか!?
それに、ここまで騒ぎが大きくなると――――――
「ああん!?一体何の騒ぎだ!!」
ほら、こうなっちまったじゃないか。
「ギルドマスター!実はあのガキが、ギルドの受付嬢『ミリアちゃん』に手を出したそうなんです!」
「何!?それは本当か!!」
「いや、違いま―――――」
「はい!」
って、おーーーい!!!あのセリナとか言う受付嬢、流石に楽しみすぎだろう!!
これじゃあ、丸で俺が手を出したみたいじゃないか!……いや、確かに見ちゃいけない所は見ちゃったけどな……。
「分かった!こいつを絶対ギルドに入れてやるものか!!」
「へ?」
「勘弁してくれ……」
こうなったら、武力で黙らすか?
いやいや、そんな事したら本当に『ブッラクリスト』みたいなものに、名前が載るかもしれない。それは此処のギルドに入れなくなるよりマズイから、我慢だな……。
……っというか、この事を想定していないなら、元気よく『はい!』なんて言うなよ!セリナさん!!
「よし、みんな!あいつをここから追い出すぞ!!」
「「「「おおーーーー!!!!」」」」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「はあーー。とりあえず、宿にでも行くか……」
俺はあらかじめ聞いておいた宿へ向かう事にした。




