大通り
俺は『冒険者ギルド』をに行くために、ブルークの町の大通りを歩いていた。
大通りにはたくさんの屋台があって思わず、小さい時に行った地球のお祭りを思い出す。最後に行ったのは何年前だっただろうか?
「ああ、そう言えば2年も行ってないかもしれないな……」
「ん、どうしたお前さん?顔色悪いな。そういう時はこれでも食いな」
俺が当時の思い出に耽っていると、焼き鳥屋っぽい店のおじさんが声をかけてきた。
焼き鳥屋のおじさんは、俺を心配して何かの肉を串に刺しているものをくれた。
……と言うより、俺って周りからそんな風に見えてたのか?
「俺、そんなに顔色悪かったか?」
「ああ。何か悲しそうな表情をしていたぞ」
「……悲しそうな顔?」
――――――悲しそうな顔?
どうしてだ?もしかして俺は、まだアイツの事を思い出していたのか?
だって、アイツはもう地球で死んだんだ。幾ら、俺がチート級の力を持っていたとしても、別の世界で死んだ人間を生き返らせることは出来ない。
だから、諦めなければいけないはずなんだが………出来るわけがないよな。
……だって、アイツは……。いや、今は関係ないな。
俺はとある出来事を頭の隅に追いやった。
「ああ、だから声をかけたんだ」
「そうか……。ありがとう」
「良いって事よ。それもタダであげるから、元気出しな」
何と、タダでもらえることになってしまった。
日本人としては、嬉しい限りだな。
そして俺は、おじさんからもらった焼き鳥を頬張った。
「っ!?おいしいな、これ!!」
「そうだろ、そうだろ!『シャープラビット』の肉を、俺特製のたれに漬けてるんだよ」
うん。最初に思った通り、焼き鳥だなこれは。
でもこれを食べると、何か元気が出てくるな。
「これがまた食いたくなったら、ここに来い!いつでも食べさせてやるからよ」
「ああ、色々とお世話になりました」
「おう!!またな!!」
この世界にもやっぱり良い人はいるんだな。こんな俺を相手にして、更に心配もしてくれるなんてな。
……そう言えば門から此処までずっと、地球に居たころを思い出していたから、正確に歩いた距離は覚えてないがもう少しで着くと思うんだが……?
―――――ん?あの建物だけ、他よりデカいな。
と言う事は、あれが『冒険者ギルド』なのか?
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