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第4話 とりあえず放課後です

今回は少しバトルっぽい……かな?

(キーンコーンカーンコーン)


「じゃ、今日の授業はここまで!みんな、お疲れさま!!」


あー、疲れたぁ。やっと授業終わりかぁ。


とりあえず帰りに買い物しないと。冷蔵庫の中は空っぽだったし。


「おーい、リュウ~。」


「ん?」


ユウトか。何の用だ?


「お前、この街に来たばかりだろ?いろいろ案内してやるから、遊んで帰ろーぜ!」


あー、そうだな。よくよく考えたら俺この街のこと何にも知らねーや。いや、覚えてない、か?まぁ案内してもらうのは悪くねぇな。


「オッケー。じゃ、行くか。」


「あ、他にも何人か誘っていいか?」


「別にいいぜ。」


「じゃ、声かけてくる。あと俺今日掃除当番だから校門近くで待っててくれ。たぶん15分位で終わるから。」


「うーい。」


じゃ、校門へと行きますか。










「…アナタが佐伯龍治?」


「んあ?」


校門へと向かう途中、突然後ろから話し掛けられた。


振り向くと、そこには髪の長ぇ女がいた。制服を着ているから教師じゃないな。


「…佐伯龍治ね?」


「そーだけど。何、アンタ?」


この女、俺にメチャクチャ殺気向けてるし。ケンカ売りにきたのか?


「何の用?」


「あなた…転校生よね?転校初日からずいぶんと元気がいいのね。」


「ああ、俺ここ数年風邪とかひいてねーよ。特にケガもしてねーし。」


インフルエンザにかかったヤツとカラオケ行っても俺だけ移らなかったんだぜ?他のヤツはみんなかかったのに。すごくね?


「そういう意味じゃないわ。…ずいぶんと暴れてるようね、ってことよ。」


暴れてる…?あー、朝のごみ処理ケンカのことね。


「…だから?早く用件言ってくれよ。俺待ち合わせがあるんだ。」


「その待ち合わせはキャンセルね……今日、ここで、アナタを粛正する。」


その女は突然、普通半分位の長さの短い木刀を両手に持って構えた。


「それ、どこから出したの?すげぇな。全然わかんなかったわ。」


「それはどうも……でもその余裕がいつまで続くかしら!?」


そういって女がこっちに向かってきた。


「はっ!」


(スッ)


「てやっ!」


(スッ)


「はぁっ!」


(スッ)


おー、なかなかこの女速い。朝のゴミ共なんか瞬殺できるな。ま、避けれない速度じゃないけど。


「くっ…なかなかやるようね!」


「そりゃどーも。」


ちなみに俺は一発も手を出しちゃいねぇぞ?女を殴る趣味はねーんだ。


「でも…これで終わらせる!」


ん?何か構え変えたな。必殺技でも使うのか?


「二刀流……桜・乱舞劇!!」


うおっ、速え…


(ズガガガガガガガガガ!!)










「う、嘘…でしょ…」


壁には多数の深い斬撃の跡…


「一つも…当たってない…なんて…」


俺は無傷だけど♪でも結構危なかったわぁ。マジで必殺技っぽいのやってくるし。制服少し切れたし。


「くっ…だったら…!!」


あー、この制服買ったばかりなのに。縫えば直るかな?……ん?また違う構えしてる。


「二刀流…」


あー、また必殺技?しょーがねーなー。待ち合わせに遅れても悪いし、終わらせるか。


「椿・いっせ…」


とりあえず木刀捨ててもらうか。


(カカンッ!)


「………え?」


(カランカラン)


何やったかって?木刀の持つところを下から蹴り上げただけ。木刀って意外と滑るから簡単に取れるんだよな。


「さて、と…」


「くっ…」


(ポンッ)


「………は?」


「女の子が木刀振り回して、危ねーからやめな。んじゃ、待ち合わせあるから。」










私が技を放とうとした瞬間……


(カカンッ)


「………え?」


一瞬のことだった。変な音と自分の手の下から来る衝撃、そして宙を舞う二本の木刀……


(カランカラン)


気付けば目の前に佐伯龍治がいた。そして私は丸腰……


腕力で男子には勝てない。それはわかっている。わかっているからこそ、自分の負けだと瞬間的に悟ってしまった。


「さて、と。」


「くっ…」


“やられる”。今までの経験上、そう感じた私は反射的に目を閉じた。


しかし……


(ポンッ)


「………は?」


思っていたような衝撃は来ず、代わりに自分の頭の上に優しく置かれた手。


「女の子が木刀振り回して、危ねーからやめな。んじゃ、俺待ち合わせがあるから。」


そう言って、佐伯龍治は私の横を通っていった。私が聞いた話とはずいぶん違う。佐伯龍治はもっと残虐な性格じゃ……


「あ、そーだ。アンタさぁ、今日の晩メシのおかず、肉じゃがと大根の煮物と、どっちが良いと思う?」


私が呆然としていると、佐伯龍治が突然聞いてきた。


「だ、大根の煮物…かな…」


「そっか。サンキュー。」


そういって佐伯龍治は再び歩き出した。


一体なんなの、アイツ…全く動きが読めない…


それからしばらく、私の壊した壁を見た教師に話し掛けられるまで、私は呆然としていた……










「お、やっと来たな。」


「遅いよ、リュウ。」


「悪い悪い。ちょっと襲われてな。」


あの女のせいで少し遅れちまった。校門に行くと、すでに人が集まっていた。メンバーは……昼にメシ食ったのと変わんねーな。


「襲われた?誰に?」


「あー…女子?」


そういや名前とか聞いてなかったな。あれもE組のヤツか?でも昼のヤツとは随分雰囲気が違ったけど…


「「女子に…襲われた…?」」


「んあ?」


なんかユウトとカズが俺を見て若干震えてる。どうしたんだ?


「お前!早速女に手を出したのか!?」


「このリア充め!!」


なんでキレてんの?てかリア充って何?


「あー、タカ。どうゆうこと?」


「いや、リュウが女子と仲良くなったのがうらやましいみたいだよ。」


「仲良く?うらやましい?俺、襲われたんだぞ?」


言ってる意味がわからねぇよ。


「「うらやましい!!」」


「お前らも襲われてみるか?メチャクチャ強いぞ?」


「「え…強…い…?」」


「ああ。壁とか普通に破壊してたし。」


「「……………………………………………そっちの襲われるかぁぁぁ!!!」」


「他に何があんだよ?」


「タカ…リュウって純粋なのね。」


「記憶と一緒にそういうのも忘れたのかもね…」


「アオイ、大変だけど頑張りなさいよ。」


「え?な、何を!?」


「リュウがさっき『女に襲われた』って言った瞬間、すごい顔してたわよ。」


「そ、そんなこと…!」


「なにコソコソ喋ってんだ?」


「何でもないよ。それよりも、そろそろ行かないと日が暮れちゃうよ?」


「そうだな。スーパーの安売りとかが終わったら、余計に金がかかるし。」


ちょっとでも節約しねーとな。両親の残した財産も限られてるし。


でも顔も覚えてない両親の財産で生活するってのは、ちょっと悪い気がするんだよなぁ。ま、生きてくために贅沢は言えねーけど。


「じゃあ案内してくれよ、ユウト。」


ふとユウトの方を見ると……


「………でも女の子に物理的に襲われるのも悪くないかもなぁ………」


ユウトが変態に目覚めかけていた。

川村 小百合


年齢;16才

職業;高校一年生

容姿;セミロングの茶髪をポニーテールにして結んでいる。アオイ同様かなりの美人だが、彼女にしたいランキングはかなり下位。

性格;気性が荒く、男っぽい。多くの男子と口喧嘩の毎日(殴りはしない)。だがタカにはたまに優しい。ツンデレ…?

本人から一言;「よろしく頼むわよ!!」

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