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7・出来てしまうのだから良いんじゃない?

「勇者様はなぜ、火槍で活躍できたんですか?」


 ノンビリ馬車に揺られながら、そんな会話をする僕たち護衛冒険者。


 結局、護衛依頼は僕一人では不安だという依頼主の一言で、更に護衛依頼が継続して張り出され、二組が依頼を受注した。


 そりゃあ、一人ではずっと休まず警戒を行うなんて普通は出来ないから、不安になるのは分かる。


 さらに言えば、いくら強かろうと一人では受け持てる正面が限られてしまい、隙を衝いて襲撃されるリスクが高くなる。 

 なにせ、これから向かおうとしているのは山岳部の峠道であり、きっと場所によっては前後から挟み撃ちにされる事だろう。

 そうなった時に、護衛が1人では商品を載せた馬車が守れないと思って当然だ。僕の場合、きっと心配ないと思うけど。

 そして、受注した二組というのは、先の対魔大戦に参加した冒険者だった。


 そうそう、ちなみに、その冒険者たちや商人に「ごはん」について聞いてみたところ、クスクスか米かは分からないが、パエリアやらピラフの様な炊き込み系の食べ物があるという話だった。


 さらに有力な証言として、商人によると葉っぱで巻いた白い食べ物があるという。きっと何かの蒸し料理なんだと思うが、内容までは分からない。


 さて、色々とこれまで見てきた中で、商人から重大な話が聞けた。


 その白い食べ物が主に食べられているのは鬼の国であるという事。


 そして、その鬼の国というのは、南方海こと、南方の呼称で中海を渡ってさらに高い山の向こう側に広がっているという事。


 その地域ではこの辺りとは気候が違い、夏の暑い時期に雨が降り嵐に見舞われる事がよくあるという事。


 ん?それって熱帯性気候じゃね?


 その夏の雨が高い山で遮られ、中海周辺地域は非常に少雨傾向の地域であるという。


 そして、中海とその北方域を隔てる様に山脈がそびえている。その北方であるナーロッパの気候は、夏は乾燥していて蒸し暑いということはなく、冬は雲が多くどんよりとした日が多くそこそこ寒い。更に雪や雨に見舞われることが多い。


 商人の話を聞いていると、これから向かう中海西端に当たる地域は、南の大山脈が途切れた部分から夏には極たまに嵐がやって来るという。確かに数年に一度の話しなので大したことはないが、気候が北部ナーロッパとは大きく異なり、聞いていると日本にありそうな気候のように思える。


 これは期待大ではないのかな。そして、その地域には鬼人族が多く棲むらしいが、対魔大戦の頃の彼らは大人しかったらしい。どちらかというと、南方の人族の方が暴れていたという。


 ちなみに、今回の護衛を受注した冒険者の一組が、その南方のパーティで、今回とは別の商人の護衛をして北部にやって来ていたんだという。見た目からしてヒャッハーしてそうなアブナイ連中だ。

 というか、見た目が西洋風ではなく、南蛮甲冑風の連中というのがなんとも。


 そしてもう一組は北部の冒険者だが、南方にはこちらとは違う魔物が生息するらしいので、それを狩りに行くというパーティだ。

 そんな彼らからの質問が、火槍でなぜ活躍できたのかという発言。


「知ってると思うけど、これは高価な魔硝石を用いない召喚系魔法で弾を作り出すから、費用が掛からないというのが一点。そして、僕が生成する弾はこのアリサカに合わせてほら、後ろから装填できる。普通の火槍は筒先から装填するから連射が利かないというのが、活躍できない理由かな?」


 この世界の銃はまだ前装式で、中にはリボルバーだとかフランキ砲の様な物は登場しているが、そうした後装式の銃器はごく僅かしかない。


 ドワーフが居るのだから、ボルトアクション式や隔螺式といった後装機構を作るのは不可能では無いと思う。

 しかし、問題は魔硝石を発火させる方法にあるらしい。


 当然ながら、魔硝石と呼ばれる魔石粉末は魔力に反応して発火する。火縄銃のように火を着ける訳だが、着火側との距離が問題になるという。

 薬莢のように火薬を詰めた筒の尻に着火用魔石を嵌め込むようなことをすれば自然発火してしまうので、常に分離しておく必要がある。

 なので、火槍隊は魔硝石筒と、着火魔石をそれぞれ専用のマジックバックに納めて持ち運んでいる。混ぜるな危険の代表例で、雑に扱うと事故がよく起きていたのは僕も実際に目にしている。

 ドワーフをして、至近距離で魔力遮蔽を実現し、適時開閉して着火させる様な機構を実現するには至っていない。


 ちなみに、鍛冶王というのは歴史上ハッキリしている五百年前の召喚者であるらしく、その人物が火槍を開発し、その進化系としてボルトアクション銃を作り上げたらしいのだが、使える者が居らず、今の今まで遊んでいたという事であるらしい。


 そりゃあそうだろう。この世界では量産されていない材料を使うのだから。


 今回、僕という召喚系の使い手がたまたま実包生成というモノを使えるから、聖槍アリサカとして崇められていた「使い方の分からない火槍」が活躍する事となった。

 僕らを召還した聖堂の偉いオッサンの分析では、召喚と錬金の複合技で、地球の雷管や無煙火薬の原料を召喚し、こちらにも存在する金属鉱物と練り合わせてあの実包が出現しているという事らしいが、僕自身、出来てしまうだけで詳しい原理は全く知らない。出来てしまうのだから良いんじゃない?って状態。


 そして、一度生成して撃ち終えた空薬莢は消えることなく残っている。


 どう聖槍アリサカで使うか、空薬莢を用いて実演してみせると、自分たちの知る火槍との違いに半ば驚き、なぜそうなるのかまでは理解できずに、更なる疑問を口にしだす状態なので、冒険者同士の交流という点では、話題は尽きなかった。


 だって、まだ安全な街道だから、たまに出てくる魔物や魔獣を外で警戒するグループが適当にあしらえば事足りたんだもの。

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