表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

7話

 背が低く、華奢な。一見すると女性に見間違えそうなほど嫋やかな相手の人物は、ゆっくりとまわりを見渡す。


「……」


 それでいて鋭く。しかし探し物がないと判断すると、諦めてため息をついた。


 エイリークのチームリーダーであるラグナルは、その挙動に不満を持ちつつも、上から見下ろすように。見下すように吐きかける。


「手加減はしない。お遊びが苦手でな。死んでも恨むな。ここにいる以上は、そういうことだ」


 この場にいるということは、相手に勝つためには手段など、生死など気にしていられない。一瞬の気の緩みで死ぬ。そういう世界だから。たとえ相手が三対三のチーム戦なのにひとりしかいなくても。


 今日は『龍の夜』。龍と龍が争い、破壊する日。血が噴き出そうが手足が引きちぎれようが、ここでは罪には問われない。なぜなら国が許可した興行だから。死んでしまっても。盛り上がるならそれでいい。龍が減るならそれも致し方なし。治安の維持に繋がるから。


 六パーセントを超える者達のみが、出場を許可される。全世界、そこらじゅうで開催されているが、有名であったりすればファンもつき、チケットは高額で転売される。


 やっとのことで相手を目にした少年、トゥルッカは口を開く。チームカラーは黒。理由は「返り血が落ちないのが嫌だから」。


「随分と優しいんだね」


「?」


 眉根を寄せるウールヴル。他のメンバーとも顔を見合わせ、首を傾げた。


 ふぅ、と冷静にラグナルはメンバーの総意を述べる。


「直訳すると『殺す』って言ってんだがな。お前さんの脳内の翻訳機は壊れてんのか。話が通じないのか」


 それとも両方か。いずれにせよ、ここにいるヤツらはまともじゃないのだから。自分達含め。それは自覚している。本来ならこんな光を浴びるようなものではない。もっとひっそりと、アングラな雰囲気でやるべきものだと思っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ