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二年目 年度休み(幕間)

 マリスの言に惑わされず、自ら調べられる部分を当たってみようと、貧民街に顔を出した。

 入学するまで一緒に情報屋をやっていた相手に、久しぶりに再開する。今年の中休みでは戻らなかったから、およそ一年ぶりだ。


「おう、グー坊。久しぶりだな」

「よ。ってか坊はやめろ。早速なんだが、色々と新しい情報を教えてくれよ」

「どういったのが望みだ? あと、何を返してくれる?」

「俺が出せるのは、貴族連中のちょっとした情報。欲しいのは、俺の情報を取りにきた奴がいるかどうかだな」


 反王子派閥に所属している連中の情報や、先王の隠し子を旗にして動こうとしているあたりを伝える。マリスについては、今は伏せておく。


「んー、お前についての話なぁ。自覚があるってこたぁ、何か掴んでるんだろう? それは出ないか?」

「聞く情報によるぜ。というか今ので足りねえ程度には出せるってことだな?」

「おう。お前の話でおぼろげに見えてきたし、お互い全部言っちまう方が良さそうな気はするよ。でもまあ、軽いところからな」


 大まかにまとめると、二箇所から情報収集されていて、どちらも名のある貴族に行き着くらしい。こうして歩いてきて、よく無事だったものだ。学校に帰るまでに、襲われてもおかしくはなさそうだ。

 俺が消えたらマリスの覚悟も決まるだろうから、それはそれで構わないんだけどな。


「お前から名前は出しにくいだろうから言っておくがな。ゴドウィン家の養子が王の隠し子だって話は知ってるぜ。だから直接の友人であるお前から裏付けが取れたり、追加情報があると助かるが、どうだ?」


 マリスの立場が情報屋に引っかかっているとなれば、こちらの出せる情報は限られてくる。


「悪いが、マリスについて出せるものは無いな。俺の件は、偶然だが性別以外はマリスの特徴と一致したのが調べられている原因だな。別件だが、王子に対する反乱が、近々起きるかもしれねえ。学校内にいる奴らも、王子に悪意がある噂を流して、このままでは国の危機だと言わんばかりの煽りをしてやがる」

「へえ。裏は?」

「それこそ、さっきから話に出ているゴドウィン公爵からだよ。マリス経由で教えてもらった。ゴドウィン公爵は反乱自体は起こしたくないってんで、事前に水面下でばらまいて牽制したいらしいから、お前のところにも、他から入るだろう。だからまあ、安めでいいぜ」


 ふむ、と考え込む相手に、俺も考えながらしばらく待つ。暗くなる前に帰り始めないと、襲われる可能性も上がる。


「考えごとなら、後でしてくれ。さっさと学校に戻りたいんでね」

「ああ、悪いな。情報を聞きに来た貴族についてだったな」


 あっさりと家名を教えてくれる。ひとつが王子陣営、もうひとつが反王子の派閥だ。念のためマリス以外に存在しないか調べているのだろう。


「あと一個だけ教えて欲しいんだが、マリスお嬢様って奴は、一緒になって反乱を起こしたがる性格か? それとも、反乱を止める感じか?」

「答えてもいいが、それ、俺の主観になるから情報として役に立たねえぞ?」

「解ってるさ。単なる俺の好奇心だ」


 俺の個人的見解なら、答えたところで問題はないと判断する。


「自分や周りに火の粉が降りかからない限り、放置するかな。降りかかりそうなら、止める方に回ると思うぜ。少なくとも、一緒になって反乱の仲間入りするとは思えねえ」

「へえ、なるほどねえ。ああ、最後に一個だけ。王弟の奴ら、まったく動きがねえ。王子に対して良い感情はないはずなんだが、叩くそぶりも何も見えねえな」

「……俺から出せる情報は、もう何もねえぞ」

「いいさ。大した話じゃないからな。ただ、油断してると横からすべてかっさらわれるかもしれんから、気をつけておけよ」

「そうマリスに伝えておくよ」


 感謝の言葉と、シンシアから預かった情報料を渡す。代金と引き替えでシンシアにも情報を回す必要が出たが、元々伝えるつもりだったから問題はない。


 そして学校に戻る途中、俺は何者かにさらわれた。意識は失わなかったが、手足を縛られ身動きできず、猿ぐつわで声も出せない。見たところ豪華な馬車なので、どこぞの貴族だろう。

 すぐに殺されなかったところを見ると、何らかの取引に使われるのかもしれないし、情報を出してから殺すつもりなのかもしれない。

 前者であればすぐには死なないし、後者であればやりようもある。今日手に入れた情報とこれまでの情報を頭の中で整理しつつ、今後の対処について考えていた。

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