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一年目 後期 その5

 朝一番に、昨日の結果が点数付きで公開された。魔法戦、筆記それぞれ一位から順に5点、4点と割り振られ、最下位が1点となる。

 結果として、二位を二連続で取った二組が合計8点となり、優勝候補に名乗りを上げた。魔法戦2点、筆記3点で合計5点の一組や、合計4点の四組だと、逆転が難しい状況になっている。

 魔法戦で成績が良かった三組も筆記では惨敗のため合計6点、筆記で一位だった五組も合計では7点だが、それぞれ模擬戦は下位に入ると考えている生徒が多い。


「一応同点の場合は、より上位を取っている組の勝ちになるから、一位を取って二組が四位以下なら、優勝の目もあるが……」


 グルケは苦々しげにしている。


「きっと、二組は三組や五組より下にはならない」

「ああ。つまり、優勝は実質不可能だな」


 悔しそうに告げたグルケを見ながら、マリスは軽く肩をすくめる。


「現状不利なのはしょうがない。せっかくの模擬戦なので、頑張るだけ」


 対戦の組み合わせを確認すると、まず二組、次に四、三、五と続く。数が奇数なので毎試合不戦の組は出るが、一組は途中で休みを挟まず、最終戦が観戦となっている。

 作戦の最終確認の後、マリスが声をかけ、参加者の六人がかけ声をあげた。


「一戦目が二組なのは運が良い。勝って相手の出鼻をくじきましょう」


 少し待っていると教師に呼ばれ、それぞれ開始位置に向かう。


「お嬢様、全力で挑ませていただきます」

「当然です。良い勝負を期待してますわ」


 周りに生徒がたくさんいるため、マリスは澄ました態度で応じる。一組の主将はマリス、相手の主将はマリスとは一度も話していない。実力も悪くはないが、シンシアと比べても大きく劣るだろう。


「始め!」


 審判の教師が合図をして、生徒が展開していく。

 マリス以外の六人が固まって相手に詰め寄り、マリスは数メートル横に離れて追走する。

 相手は六人を迎え撃つ役、マリスを迎え撃つ役、回り込む役の三つに大きく分かれて展開を始めた。

 マリスは、向かってくるカティを含めた四人を見て速度を上げる。

 カティは少し下がっているため、一合目は別の男子生徒と剣を打ち合わせると、そのまま力を逃がして一歩引く。相手が押し込もうとするのに合わせ、即座に剣を上から叩いて落とさせた。

 周りを囲まれないように注意しながら、次の相手に向かっていく。しかしマリスが相手に剣を振る前に、横から素早くカティが距離を詰めて、打つ瞬間を見定めようとしてきた。

 安易に攻めると痛い目にあいそうなため後ろに下がろうとすると、回り込んでいた二人もマリスに向かってきている。

 都合、六人がマリスを狙っている状態になっている。仲間は何をしているのかと目を向けると、四人が向かってきた六人を相手にしており、遅ればせながらアベルとダインがマリスの後ろに回り込もうとしていた二人に向おうとしていた。


「来なくていい!」


 マリスが叫び、向かってきていた二人が止まり、あらためて六対六で打ち合い始める。

 マリスが目を周りに向けた隙をついて、カティたち三人が向かってくる。

 軽く舌打ちをしつつ、一番弱そうな相手を狙って突き出してきた剣を下から打ち上げ、体制を崩したところに追い打ちをかけて相手の剣をはじき飛ばした。

 そこに合わせて、カティがするどく突きを打ち込んできた。もう一人がまだ二歩ほど離れているのを見てから、一歩前へ踏み出しつつカティの攻撃を避けて、強く肩からぶつかる。

 たたらを踏みつつ倒れないように踏ん張っているカティを横目に、最後に近付いた一人が無造作に振るった剣を絡め取った。

 回り込んだ二人とカティの攻撃を避けつつ、狙いをカティに定める。攻撃の癖が読まれているせいか、二度ほど防がれつつも、力で押し切りカティの剣をたたき落とした。


「さて、そろそろ勝負ありかしら」


 カティが脱落した後、残った二人とは二合と打ち合わずにマリスが勝利を手にする。

 自由になり、残りの仲間の様子を見ると、二人脱落しているが、三人を仕留めていた。放っていても勝てそうだとは思ったが、こっそり相手陣営の後ろに回り込み、気付いていない相手主将の手を打ち、剣をはじく。


「それまで!」


 嬉しそうにしている一組とは対照に、二組は悔しがっている。マリスはカティに話しかけた。


「カティ、作戦としては悪くなかったですわ」

「お嬢様に挑むには、六人では少なかったでしょうか」

「もっと多かったら、きっと足で振り切って、手薄な主将だけを狙いましたわ」


 次の試合が始まるまで、対戦を終えた生徒たちで感想戦を行っていた。マリスは周りを囲まれながら、自分の考えを口に出していた。

 そうしているうちに他の試合も終わり、少しの休憩を挟んで、次の準備が進んでいく。

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