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女神様の星作り  作者: いと
人間の住まう世界編
21/28

出番が一度だけの世界(後編)

一度だけの出番ということで、ただ認識が消えるだけなので多少気が楽と思えたカンパネ。しかし女神様の本当の性格を改めて思い知った発言から、信じられない世界と変わってしまった。


 女神様は本来どういう人物かを知っていたはずだった。残虐で残酷な、自分が楽しければ問題ない。そんな人だった。

『カンパネと何かしら接触を一度でもすると、認識が阻害されるという事を全員の頭に入れたわ』

「……は?」

『安心しなさい。ちゃんと人間は生きているわ。認識が阻害されるだけ。つまり、その人間は存在するけど、周囲からは認識されないということ。それを人間は知っている世界にしたわ』

 この世界のルールについて人間が知ったということだろうか。

 とくに何か変化したようには見えなかったが、気がつけば全員が黙り込んでいた。

 とりあえず何があったかを左斜め前の男子生徒に聞いてみよう。

「ちょっと、質問いいかい?」

「へ、あ、ぬああああ! カンパネ貴様ふざけるなよ! 何で俺に話しかけて来たんだよ! これだと俺は、消えていなくなるだろうがあああああぁぁぁぁぁ」

 息が切れるまで話し、そして徐々に、その姿が消えていなくなった。

「……えっと、これは一体」

「笹原君! そんな……あ、いや、き、消えたくない!」

 廊下側の席の女子生徒がまたしても消えていった。

 とりあえず僕と話すと消えるらしい。状況がわかったのでとりあえずメモを出してそれを皆に見せる。


「状況は分かった。とりあえず僕に関わらないようにしてくれ」


 そう掲げられたメモに皆見て、目を伏せる。

 どうやら声を出したり、直接僕と対面で何かをしなければ消えないらしい。

 チャイムが鳴り響き、先生が入ってくる。

「……そ、それでは授業を始めます。まずは前回のテストですが……三浦君、今回百点を取ったのは君だけだ」

「やった!」

 どうやら何かのテストで百点を取ったらしい。


 そして、先生と三浦君は消えていった。


『さ、さすがに理不尽な世界かしら』

「理不尽過ぎますよ!」

「ひっ!」

 女神様の声に大声で反応したせいで、左隣の女子生徒が悲鳴を上げて消える。

『アニメとかだとキャストが凄い数になると思わないかしら』

「そうですけど、さすがにこれは僕も生きてて辛いというか」

 ことごとく消える友人達。ドラマでも積み重ねた努力等があってキャラクターが成り立つのであり、こうして一言で終わってしまうのは何というか安い。

『まあ今日はこの辺にしておくわ。廊下を出たところでゲートを作ったから、そのまま帰ってきなさい』

 そう言われて僕は立ち上がる。

 少し疲れたのか、歩く足も少しくたびれていて、何も無いところで転んでしまった。

「バチが当たったんだ」

「ざまあ見ろ」

「こんな世界」

「お前が消えれば良いのに」

 そんな声が聞こえてきた。

 もちろん声が聞こえた後は、その生徒達は消えていった。


 僕は、人間のことは嫌いじゃないのに、どうして嫌われてしまったのか。

 やるせないまま、カミノセカイに帰還するのだった。

いとです。

日常系のアニメを見ているととてもなごみますね。そして来週もこのキャラクターが見れるのかなという期待感というのは活力にもなります。

そんな活力を断ち切ってみた物語を書いてみたということです。

次回の女神様は何を思いつくのやらと私も考える今日この頃です。

では。

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